北大発の宇宙スタートアップ「Letara」、2.75億円を調達–プラスチック燃料の衛星スラスターを開発

AI要約

北海道大学発の宇宙スタートアップ「Letara」が2億7500万円の資金調達を実施したことを発表。

Letaraはプラスチックを燃料とした衛星用スラスターの開発を行っており、従来の電気推進と液式推進の長所を組み合わせたハイブリッド推進システムを実現。

資金調達により、滝川市に新たな開発製造拠点を整備し、旧江部乙中学校の校舎を利用することが発表されている。

北海道大学発の宇宙スタートアップ「Letara」(札幌市北区)は7月26日、総額2億7500万円の資金調達を実施したと発表した。内訳はインキュベイトファンド、NES、豊田合成、科学技術振興機構(JST)への新株予約権の発行、および三井住友銀行からのベンチャーデットによる借り入れとなる。

プラスチックを燃料としたスラスターを開発

 Letaraは、プラスチックを燃料とした衛星用推進機(スラスター)を開発している。

 衛星用スラスターは、電気推進と液式推進に大別されるが、電気推進は高効率かつ長寿命で安全性も高い一方、推進力が弱く大きな加速が必要なミッションには不向きだ。もう1つの液式推進は大推進力を得られ、即時に推力を発生できるが、燃料の取り扱いや安全管理に高いコストがかかり、燃料消費が激しいため長期間のミッションには不向きだ。

 一方のLetaraが開発しているスラスターは、電気推進の安全性と、液式推進の高推進力を兼ね備えた「ハイブリッド推進システム」となる。燃料には素手で扱えるプラスチックを用いるほか、廃プラスチックも流用できるため環境負荷も低減できる。同スラスターを搭載することで、ライドシェア軌道に打ち上げられた小型衛星が、自力で深宇宙に向かうことも可能になるという。

 今回の資金調達によって、北海道滝川市に自社の開発製造拠点を整備するという。同社はすでに滝川市の旧江部乙(えべおつ)中学校(2021年度末に閉校、江陵中学校と統合)の校舎などを新たな研究開発の拠点として利用すると発表している。