人型ロボットに投資家が熱目線。スマホ大手のシャオミ、ベンチャー企業にも初出資

AI要約

エンボディドAIは、頭脳とロボットの体を組み合わせたシステムで、物理世界に作用できるAI技術の注目を集めている。

中国のスタートアップ企業「小雨智造」がシャオミや有名研究者から資金調達し、工業分野での実用化に注力している。

人型ロボット分野の資金調達が増加しており、マーケットが拡大している。

人型ロボットに投資家が熱目線。スマホ大手のシャオミ、ベンチャー企業にも初出資

エンボディドAI(身体性を持つAI)は、「頭脳」の役割を果たすAIとロボットの体を組み合わせたもので、考えたり、物体を操作したりして物理世界に実際に作用できるシステムのことを指す。学術界では概念として以前から存在していたが、AI技術やロボット技術が大きく進歩したことで広く産業界からの注目を集めるようになった。現在は人型ロボットをはじめとするエンボディドAI関連のスタートアップ企業が急増し、投資活動も非常に活発化している。

2023年2月に設立されたスタートアップ企業の「小雨智造(Xiaoyu Zhizao)」がこのほど、シードラウンドで中国スマートフォン大手のシャオミやロボット分野の有名研究者・王田苗氏、北京智源人工知能研究院(BAAI)から約1億元(約20億円)を調達した。

小雨智造はシャオミの元幹部が中心となって立ち上げた企業で、高度な汎化能力を持つ「頭脳」1つで、4足歩行ロボットや複合ロボット、人型ロボットなどさまざまなロボットの制御を実現することに注力している。創業者の喬忠良氏はシャオミの創業メンバーで、同社のスマートデバイス向けOS「MIUI」のバージョン9から12などを担当した。

小雨智造の製品は、まずは工業分野での実用化を見込んでいる。これ以前に、すでに重工業分野のトップ企業から溶接ロボット100台の受注を獲得し、共同運用も開始したという。

エンボディドAI分野において、小雨智造はシャオミが初めて投資した企業となる。シャオミは早くも2021年にロボット研究室を立ち上げ、等身大の人型ロボット「CyberOne」や4足歩行ロボット「Cyberdog」などを次々に発表してきた。23年にはロボット事業を切り離し、新会社「北京小米機器人技術」を設立、今年6月には亦庄国投から戦略出資を受けている。

CyberOneは工業現場で活用が進められており、将来的には傘下の電気自動車(EV)事業「小米汽車(Xiaomi Auto)」の生産ラインで「実習」するようになるとの情報もある。

人型ロボット分野における資金調達の件数がほかでも増えている。例えば、米Figure AIが今年2月に6億7500万ドル(約1000億円)を調達し、評価額が26億ドル(約4000億円)に達した。中国では同時期に宇樹科技(Unitree Robotics)が10億元(約210億円)、銀河通用(Galbot)が7億元(約150億円)という巨額の資金調達に成功したほか、逐際動力(LimX Dynamics)もシリーズAでアリババなどから数億元(数十億円超)を調達している。

*1ドル=約153円、1元=約21円で計算しています。