トヨタ・ブロックチェーン・ラボがテックペーパー公開──クルマにアカウントを付与し、オンチェーン化

AI要約

トヨタ・ブロックチェーン・ラボがテックペーパーを発表。技術的な詳細に焦点を当てた内容で、モビリティ3.0の実現を目指す。

テックペーパーでは自動車の権利をトークン化し、オンチェーン化する未来像を描いており、自動車が完全自律運転で機能することが強調されている。

トヨタのMOA(Mobility-Oriented Account)やERC-4337の標準に基づいたアカウント抽象化など、具体的な技術詳細にも言及している。

トヨタ・ブロックチェーン・ラボがテックペーパー公開──クルマにアカウントを付与し、オンチェーン化

「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」は7月19日、テックペーパーを発表した。ビジネスモデルや製品の概要を説明するホワイトペーパーに対して、テックペーパーは技術的な詳細により焦点を当てたものだ。

トヨタ自動車は、2023年4月に「Toyota Mobility Concept」を発表。「モビリティ1.0:クルマの価値の拡張」「モビリティ2.0:モビリティの拡張」「モビリティ3.0:社会システム化」の3つの領域でモビリティ・カンパニーへの変革を進めていくとしている。今回、トヨタ・ブロックチェーン・ラボ(TBL)が発表したテックペーパー『How to Introduce Mobility into the Public Blockchain』は、特に「モビリティ3.0」実現の鍵となるものだ。

I am a member of the Toyota Blockchain Lab.This is the first time we have presented a tech paper. We would like as many people as possible to read it. We also welcome your comments and inquiries. AGI_ueno@globaltfs.com#TOYOTA #TOYOTABlockchainLabhttps://t.co/S1TLKd8bGH

— 上野直彦⚡️naox1102.eth@TOYOTA Blockchain Lab (@Nao_Ueno) July 24, 2024

今回初めてテックペーパーを発表します。できるだけ多くの方に読んでいただきたいと思います。ご意見・お問い合わせもお待ちしています。

テックペーパーでは、冒頭の「Background」に続けて、「Motivation」の項目で「モビリティの多くは公共空間に存在し、他の車両や人、信号やエネルギー施設といった外部要因との相互作用を通じて移動を可能にしている。 つまり、モビリティは個人の所有物であると同時に、半公共的な存在でもある。多くの人々とステイタスを共有するために設計されたパブリックブロックチェーンは、Toyota Mobility Conceptを実現するための強力な選択肢となり得る」と記している。

TBLが描いている未来像は、自動車にまつわるさまざまな権利をトークン化し、オンチェーン化することだ。将来、完全な自律運転で走行する自動車は、さまざまな情報を外部とやりとりすることになる。つまり、自動車は「完全に独立したサービスエンティティとして機能し、すべての権利はオンチェーン上で処理される」という。

TBLは、こうした自律走行車が保有することになるブロックチェーン上のアカウントを「MOA」(Mobility-Oriented Account)と名付けている。MOAのベースとなっているのは、イーサリアムブロックチェーンのアカウント抽象化の標準ERC-4337だ。

さらに『How to Introduce Mobility into the Public Blockchain』では「Design」「Architecture」「Implementation」「Scenarios」の項を設けて、技術詳細を具体的に解説している。

『How to Introduce Mobility into the Public Blockchain』は誰でもアクセス可能だ。自動車とブロックチェーンの未来、可能性、あるいは日本を代表する大企業がブロックチェーンをどのように捉えているのかを知る一助としても、興味を持った方はぜひ、読んでみて欲しい。

日本発のブロックチェーンに取り組むAstar Networkのファンダー、渡辺創太氏は以下のようにXに投稿している。

Toyota just published “MOA” (Mobility-Oriented Account) based on Account Abstraction standard ERC-4337 in Ethereum ecosystem. Bullish! Glad large Japanese enterprises are working on public chains.https://t.co/Ph4sVTVgFc

— Sota | Astar + Startale (@WatanabeSota) July 23, 2024

トヨタが、イーサリアムエコシステムにおけるアカウント抽象化標準ERC-4337をベースにした「MOA」(Mobility-Oriented Account)を公開した。強気展開だ! 日本の大手企業がパブリックチェーンに取り組んでいることをうれしく思う。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:Shutterstock