みんな付いてくるはず? イーロン・マスクはテキサスを「マスクの国」に変えようとしている(海外)

AI要約

イーロン・マスク氏はテキサスに自身の本社を移転する計画を進めている。

マスク氏は法人登記をテキサスに移す株主投票で成功し、テスラの移転を始めた。

テキサスへの移転には賛否両論あり、他社も異なる選択をしている。

みんな付いてくるはず? イーロン・マスクはテキサスを「マスクの国」に変えようとしている(海外)

イーロン・マスク氏はテキサスを自分の故郷にするつもりのようだ。

マスク氏はXとスペースXの本社をテキサスに移したいと考えている。テスラはすでに移転している。

周囲がマスク氏に追随するかどうかはまだ分からない。

6月、テスラの株主がイーロン・マスク氏の味方をし、テスラの法人登記をテキサス州に移転することを承認した時、世界一の大富豪は希望に満ちた声を上げた。

「我々はテスラの新たな一章を開いただけでなく、新たな本を書き始めたのだと思う」と。

マスク氏は自身の最も新しいひらめきに、仲間たちが再び味方してくれることを望んでいることだろう。同氏は先週、自身が率いるXとスペースXの本社をカリフォルニアからテキサスに移転すると発表した。

X(旧Twitter)への投稿でマスク氏は、7月15日にカリフォルニア州で「家族と企業の双方」を攻撃する子どもの性自認や性的指向に関する新法が成立したことがその引き金になったと主張したが、同氏のカリフォルニア州からの撤退が前々から検討されていたことは明らかだ。

7月に入って、Xがサンフランシスコのオフィスを転貸する計画が浮上したが、サンフランシスコの「凶悪犯罪」は1年以上にわたってマスク氏に重くのしかかってきた。

同氏はすでに、テスラの本社を2021年にカリフォルニア州からテキサス州オースティンに移転させている。さらに自身が率いる2つの大企業をそこへ移すことで、マスク氏はテキサスを"マスクの国"として確立しようとしている。

マスク氏は周囲が追随することに賭けている。ベンチャーキャピタリストのジェイソン・カラカニス(Jason Calacanis)氏がマスク氏が挙げたのと同じ理由で「カリフォルニアとはもう終わり」とXに投稿したのに対して、「多くが(自分にならってテキサスに)ついてくる」と自信たっぷりに断言した。

マスク氏は株主がテキサスに熱狂していることをもちろん分かっている。

6月に開催されたテスラの年次総会で同氏が共有したチャートによると、同社の法人登記をテキサス州に移転する株主議案に対する投票は、マスク氏の約560億ドル(約8兆8000億円)にのぼる報酬パッケージに対する投票よりも多かった。

最近では、他の大義名分の下に人々を結集させることにも成功しているようだ。マスク氏がXで"トランプ支持"を強く打ち出したことを受け、テック企業のトップの中にはトランプ前大統領への支持を強化した者もいる。

マスク氏がトランプ前大統領を支えるスーパー政治活動委員会(PAC)に毎月4500万ドルを献金するつもりだとウォール・ストリート・ジャーナルが報じると、マーク・アンドリーセン(Marc Andreessen)氏やベン・ホロウィッツ(Ben Horowitz)氏なども同様の準備を進めていると報道された。

ただ、マスク氏が他の企業をテキサスに長期的に誘致できるかどうかはまだ分からない。

コロナ禍でテキサスに移ることを選んだテック企業もあったが、オースティンのような場所では"ポスト・シリコンバレー"の生活に対して抱いていた、大きな期待が満たされないことに気付いた労働者の間で、不満が高まっている兆しがある。

一方、オラクルといった企業は真逆の決断をした。ラリー・エリソン氏率いる同社は2020年に本社をカリフォルニア州レッドウッド・シティからテキサス州オースティンに移したが、2024年4月にはテネシー州ナッシュビルに再び移転すると発表した。

ブルームバーグの世界富豪番付で7位、1580億ドルの資産を誇るエリソン氏がナッシュビルを選んだのは、生活するにも子育てをするにも「最適な場所」で、オラクルが投資しているヘルスケア産業に触れることができるからだ。

マスク氏が宣言通りXとスペースXを"ローンスター・ステート(1つ星の州)"に移すかどうかは、時が経てば分かるだろう。ただ、もし移転しなくても、同氏の"言行不一致"はこれが初めてではない。