「Thunderbird 128 Nebula」がリリース ~新要素満載のメジャーバージョンアップ

AI要約

オープンソースのメールソフト「Thunderbird」v128.0esrが、7月11日にリリースされた。

「Thunderbird 128」は大幅なコードの見直しにより、パフォーマンスの向上やUIの改善が図られている。

Windowsユーザーにとってうれしい変更やプログラミング言語「Rust」の活用など、様々な進化が見られる。

「Thunderbird 128 Nebula」がリリース ~新要素満載のメジャーバージョンアップ

 オープンソースのメールソフト「Thunderbird」v128.0esrが、7月11日にリリースされた。「Thunderbird 115」以来、約1年ぶりのメジャーバージョンアップとなる。

 「Firefox 128」をベースとした「Thunderbird 128」は「Nebula」というブランドネームが冠せられており、「Thunderbird 115」で採用された「Supernova」デザインに磨きをかけたものとなっている。大幅なコードの見直しにより、パフォーマンスも向上しているようだ。

 たとえばメッセージリストのカードビューでは、スレッド化されたメッセージ、未読、新着のインジケーターが改善。可読性やアクセシビリティも向上した。これまで適用されていなかったUI密度の設定がメールカードでも尊重されるようになり、指でタッチするときにも、小さいスクリーンでより多くの情報をチェックしなければならない場合にも使いやすくなっている。「Ubuntu」と「Linux Mint」ではテーマ互換性が強化されており、システムで設定したアクセントカラーがサポートされた。

 フォルダーペインではレンダリングと検索の高速化、複数フォルダーを選択する機能の追加が行われた。メールアカウントの色もカスタマイズできるようになっており、メール作成にアカウント(差出人)を間違えるといったミスを抑えられる。また、右クリックメニュー(コンテキストメニュー)も再編されており、主要なアクションはアイコンとなった。

 Windowsユーザーにとってうれしい改善は、メッセージ通知がOSネイティブになったことだ。従来の「Thunderbird」通知はアプリ独自に実装したもので、OSとは連携していなかった。そのため、ゲームのプレイ中に新着メールの通知が表示されて煩わしく感じることも多かったが、そうした不満は解消されるだろう。

 そのほかにも、「Thunderbird」にプログラミング言語「Rust」を導入するうえで障害となっていた問題が克服されているとのこと。「Rust」言語はメモリ破壊のようなバグが発生しにくい言語仕様となっており、WindowsカーネルやAndroid、「Chromium」などで採用が進んでいるが、今後は「Thunderbird」でも積極的に活用されていくだろう。

 一方で、期待されていた「Thunderbird Sync」はまだ搭載されていない。セットアップとテストに時間がかかっているとのこと。

 なお、「Thunderbird 128」が提供されるのは当分の間、公式サイト「thunderbird.net」でのみとなる。「Thunderbird 128」には新要素が多く導入されているため、大きな不具合がある可能性もある。安定性を重視するユーザーは、引き続き「Thunderbird 115」を利用するべきだろう。

 また、「Thunderbird 128」ではシステム要件が変更されているので注意。Windows版の対応OSはWindows 10以降だ。