オートメーションエニウェア、自動化にAIを組み合わせて業務効率を改善

AI要約

オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社がAIと自動化を組み合わせた「AI + Automation Enterprise System」を発表。

日本でのRPAと欧米でのオートメーションとのギャップについて説明。

新製品にはAIプロセスの自動化や企業データの安全な活用、プロセス改善が盛り込まれている。

自動化ライフサイクルの加速、AIエージェントの構築、文書処理の正確性向上など、製品の詳細について解説。

セキュリティとガバナンスの強化、プロセス改革への期待、さまざまな業界向けのSolution Accelerator展開予定。

AI + Automation Enterprise Systemの特長、導入メリット、将来展望について説明。

オートメーションエニウェア、自動化にAIを組み合わせて業務効率を改善

 オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社は10日、AIと自動化を連携し、業務を大幅に効率化する「AI + Automation Enterprise System」を発表した。

 日本ではRPAソリューションを提供するベンダーとしてシェアを伸ばした同社だが、日本法人のカントリーマネージャーである由井希佳氏は、「日本でRPAがブームとなった2017年・18年ごろ、日本でのRPAと、欧米で利用されているオートメーションにはギャップがあると感じていた」と説明。日本法人ではRPAという単語を使わないようにするなど、欧米で活用されている「Automation」を前面に出して顧客向けアピールを行ってきたという。

 今回発表されたのは、AutomationとAIを組み合わせることで、より業務効率を上げられるソリューションで、米Automation Anywhere カスタマーサクセス&オペレーション担当 エグゼクティブバイスプレジデント兼共同創業者のルシャブ・パーメニー氏は、「強調したいのは、当社はオートメーションシステムを長年提供し、実績を持っているということ。さらに、この6・7年前からは、AIにかなり積極的な投資を行っている。エンタープライズ企業が効率的に、安全に企業内データを活用できるよう、オートメーションとAIを融合していく」とアピールした。

 またオートメーション・エニウェア・ジャパンの由井氏は、「日本の多くのお客さまは、RPAをタスクオペレーション、例えばExcel、メール処理に利用するにとどまっており、効果が思ったほど上がらなかったというお客さまが多かった。そういうお客さまは、RPAに対し、あまり良い印象がないようだ。それに対して、欧米で当社の製品を利用し、効果を上げているお客さまは、プロセスオートメーションを実現して効果を上げている。これは欧米には、プロセスオーナーというプロセスに責任を持っている担当者がいるのに対し、日本ではプロセスごとというより、部門ごとに責任者がいて、その場で判断することが一般的だからだ。さらにアプリケーションも複数あり、それをまたがった処理をしなければ効率化が進まないのに、アプリケーションごとのタスクオペレーションにとどまっている状況だった」と述べ、日本でRPA導入による業務効率化が思うように進まなかった理由を指摘した。

 「日本でも当社製品を導入し、成果を上げているお客さまは、我々が提供しているオートメーション・コパイロットを使うことで、複数アプリケーションにまたがった横断的なプロセス改善に着手している。さらに、今回発表したAIによって、トレーニング等の必要がなく横断的なプロセス改革を進めることができるのではないかと期待の声をもらっている」(由井氏)。

 今回発表したAI + Automation Enterprise Systemには、第2世代の生成AIプロセスモデルが組み込まれ、AIプロセスの自動化の検出、開発、および展開を加速する。

 米Automation Anywhereの最高技術責任者、プリンス・コーリ氏は、「我々のお客さまは企業のお客さまであり、AIに関しては、責任ある形で、安全安心な形で使うことが重要な命題であると考えている。本当に安全安心な形で、お客さま自身のプライベートデータを活用できることが大きなポイント。私どものプラットフォームを使っていただくことで、AIの大きな課題であるハルシネーション問題を回避することができる。我々のAI Agentを使っていただくことで従来の3倍のタイムバリューを、またAI Solutionを利用することで10倍のビジネスバリューを提供し、劇的な業務効率向上を実現していきたい」と説明した。

 エンタープライズAIエージェントは、新しいAI Agent Studioを利用することで、カスタムAIエージェントを構築可能。AIエージェントには企業データから学習する機能が備えられているので、情報に基づく意思決定を行い、企業システム間の責任あるアクションをとる。その結果、プロセスが最大90%迅速化し、自動化を次のレベルに引き上げられるという。

 AI Agent Studioは、ローコードツールを備えているため、開発者のスキルレベルを問わず、特定のユースケースに対応した専用のAIエージェントを、迅速かつ簡単に開発することが可能で、データサイエンティスト不在で作業を進めることができるとした。

 AIエージェントは、AIとアクションを組み合わせることにより、複雑な認知的作業に取り組むことが可能で、例えば在庫不足の場合、製品を特定し自動的に交換するといったことができる。適応性が高く、複雑な企業データから学習し、速やかにアクションをとることで、迅速な解決とROI向上を実現するとしている。

 開発者は任意の基盤モデルからスタートすることが可能で、基盤モデルにはAmazon Web Services(AWS)、Google Cloud、Microsoft Azure OpenAI Serviceなどが含まれる。10月からは、RAG(検索拡張生成)のネイティブサービスとAmazon Bedrockを通し、企業の知識をAIエージェントで拡張できる予定となっている。

 またセキュリティとガバナンスが強化されたほか、AIエージェントに組み込み制御が搭載され、AIや会社データの利用状況を保護および監視して、セキュリティとコンプライアンスを確保する。新機能としては、エージェントとモデルのパフォーマンスの監視と監査、一貫的な使用を実現するガードレール、人による確認とプロンプトテストによるハルシネーション(誤情報)の抑制と出力品質の最大化などが含まれる。なお、モデルで処理されるすべての入力から得られた機密データは、フューチャーデータマスキングにより自動的に再編集される。

 Automator AIは、生成AIの製品や機能の包括的なセットで、自動化ライフサイクルを加速化し、自動化の構築、展開、管理を迅速かつ容易に行う。Generative Recorderでは、生成AIフォールバックを利用し、UIの自動化をより弾力的に構築することが可能。ソースアプリケーションのインターフェイス変更を自動的に検出し、リアルタイムに自己修復して動作を継続することで、自動化のダウンタイムを最大50%削減する。

 Autopilotは、生成AIを利用し、プロセスドキュメントからドラフト版のプロセス自動化に迅速に変換することで、各チームは部門横断的にプロセスの検出から自動化まで、迅速に移行できる。

 Document Automationは、生成AIの機能強化を活用し、非構造化ドキュメントを含むあらゆるドキュメントタイプをリアルタイムで処理して、90%以上の正確性を実現するとした。複雑なテーブルからデータを抽出する新機能や、30を超える対応言語と拡張モデルオプションを備え、企業は作業フローのデータをあらゆるドキュメントタイプから迅速に取得できるようになった。

 Automation Co-Pilotは、任意の場所に埋め込むことが可能な組織向けのエンタープライズアシスタント。新たにAmazon Q Serviceと統合されたことで、会話型になった。ビジネスユーザーは、オンデマンドアシスタントのチャット機能を使用してナレッジベースの質問、AIエージェントの呼び出し、自動化の起動を行うことで、あらゆるアプリケーションでの作業をより迅速に実施できるようになった。

 エンタープライズ対応のAutomation Co-Pilotは、ユーザーが作業する任意のアプリケーションに埋め込み、組織内のあらゆるシステムで実行することができる。

 Service Operations Solution Acceleratorは、さまざまなサービス運用のユースケース向けの事前パッケージ化されたAIエージェントと、事前定義済みのワークフローが含まれ、チームはビジネスインパクトをより迅速に得ることができる。従業員は、プロセスの自動化を迅速に実行できるだけでなく、AIエージェントを呼び出し、注文管理や返品プロセス、サービスのQ&Aなどのコグニティブタスクを実行できるようになり、あらゆる顧客対応を改善する。今後、数四半期をかけ、経理やIT、人事、ヘルスケア、銀行、製造などの業界向けの新しいSolution Acceleratorを展開する予定となっている。