日常を快適にしてくれる大画面とAI機能 ASUSのフラッグシップスマホ『Zenfone 11 Ultra』徹底レビュー

AI要約

ASUSの最新スマホ『Zenfone 11 Ultra』が発表された。コンパクトさを捨て大画面化した新モデルは、高性能、高タフネス、AI機能を備え、日常スマホの最高峰と称される。

カメラ性能も高水準で、50MPの広角カメラや強化されたジンバル機能が特徴。また、動画撮影のブレ補正やAI機能など、さまざまな機能が充実している。

コンパクトさを手放し得られた新たな魅力を持つ『Zenfone 11 Ultra』は、手のひらを超えて生活に溶け込むスマホとして期待されている。

日常を快適にしてくれる大画面とAI機能 ASUSのフラッグシップスマホ『Zenfone 11 Ultra』徹底レビュー

 ASUSから最新のAndroidスマホ『Zenfone 11 Ultra』が発表された。2024年7月5日より発売が始まる。価格はストレージ256GB/RAM12GBモデルが13万9800円、ストレージ512GB/RAM16GBモデルが15万9800円。

 これまでのZenfoneシリーズは、ハイエンドなスペックながらコンパクトなボディサイズを維持していることが特徴だった。「ハイスペックなスマホは大型化する」といった風潮に乗ることなく、小型ゆえのハンドリングの良さを重視していたわけだ。しかし、今回の『Zenfone 11 Ultra』でその系譜はついに破られることとなる。詳しくみていこう。

■ついに大画面化を果たしたフラッグシップ

 まずは外箱から。近年のASUS製品は環境負荷をおさえたモノづくりが意識されているが、『Zenfone 11 Ultra』の外箱もパルプの使用料を36%削減するなどサステイナブルな施策が見られる。かといって高級感が損なわれた印象もなく、デザインの妙が光る。内容物は、スマホ本体、スマホケース、ケーブル、マニュアルといった具合。USB充電器は含まれていない。なおSoCにはSnapdragon 8 Gen 3を採用し、RAMは16GBとなっている。4つのカラーが用意されており、今回はスカイラインブルーを選択。背面はマットな質感で、見る角度によって色味が変化する。新しいロゴ『Aモノグラム』があしらわれているが、このデザインはノートPC『Zenbook』シリーズなどにも見られる。Zenファミリーらしい顔立ちになったなと感じた。

 底面は左端に充電のためのUSB Type-C端子があり、SIMトレイやヘッドホン端子と続く。有線イヤホンが使えるのは魅力で、特にZenfoneはその高音質さから音楽再生機としての注目度も高い。ワイヤレスでもハイレゾ音源に対応している。しかし、今回の『Zenfone 11 Ultra』でもっとも変化した部分があるとすれば、それは大きさだ。前モデルは横68.1mm×高さ146.5mmだったが、今回のモデルは横76.8mm×高さ163.8mmとなっている。一回りほどサイズアップしていると言っていい。ちなみにバッテリー容量も4,150mAh→5,500mAhと大幅アップしている。  写真左は6.12インチの『iPhone 15 Pro』で、右が6.78インチの『Zenfone 11 Ultra』。こうなるとコンパクトな面影はなく、大画面を軸としたリッチな使用感が本機の魅力と言えるだろう。前モデルまでの手のひらサイズが好きだった人にとっては悩ましいアップデートと相成った。

  なお、『Zenfone 11 Ultra』はASUSのゲーミングスマホ『ROG Phone 8』をベースにしており、基本的な内部構造は同じものとなっている(Game Genieも内蔵)。異なる点は、デザイン、急速冷却用ヒートシンクの有無、外付けの『AeroActive Cooler X』の対応といった部分となる。パワフルなゲーミング性能をほこる『ROG Phone 8』譲りのスペックは心強い反面、これまでのZenfoneらしさは薄まってしまっているといえるだろう。

■高性能&大画面&高タフネス。これぞ日常スマホの最高峰

 コンパクトさが持ち味だった歴代Zenfoneのエッセンスは失われてしまったが、一方で新たに獲得した魅力もある。言わずもがな、画面の大きさだ。

『iPhone 15 Pro』と比較しても、一画面に表示できる情報量は圧倒的に多い。また画面の最大輝度は2,500ニトと非常に明るい。AMOLEDディスプレイは発色も良く、可変リフレッシュレート(最大144Hz)で表示も滑らかだ。総じて、ディスプレイの質の高さが『Zenfone 11 Ultra』の大きな特徴と言える。

 パワフルなスペックゆえスマホゲームも快適に遊べるし、画面が広いから体験もリッチ。こうした贅沢なエンタメ体験は今までのZenfoneシリーズでは届かなかった点だろう。コンパクトさと大画面はどうしてもトレードオフになってしまうが、大画面が決して悪いとも思えない。むしろエンタメ視点で見るなら恩恵の方が多い。

  『Zenfone 11 Ultra』は防水性能も高く、その等級は最高クラスのIP65/IP68。水回りに置いても気兼ねなく操作できるため、料理をしながらの操作も気にならない。こうしたタフな使い心地は、日常スマホに求めたい点だ。おまけにFeliCaにも対応している。

 高品質な大画面ディスプレイ、パワフルなスペック、高い防水性能やおサイフケータイへの対応。どれも基本的な要素とはいえ、それらを高い水準で満たしてきたのが今回の『Zenfone 11 Ultra』だ。『原神』を60fpsでプレイできて、なおかつ普段使いもしやすいデザインや機能を備えたスマホとなると、なかなかのレアモノだろう。

■自然派な印象を残せるカメラ機能

 続いてはカメラ性能を見ていこう。背面カメラは50MPの広角カメラ+32MPの光学3倍ズーム望遠カメラ+13MPの超広角カメラのトリプルレンズ構成になっている。広角カメラは高い解像度を活かしたロスレス2倍ズームに対応し、Zenfoneシリーズおなじみの6軸ジンバルモジュールによる手ぶれ補正にも対応。 メインで使う広角カメラの写りはかなりナチュラル。ディスプレイの発色の良さも相まって、きれいな思い出が振り返られそうだ。ここからはそれぞれのカメラの画角をチェック。超広角→広角→広角2倍ズーム→望遠3倍ズームでチェックしたが、超広角や50MPの広角はやはりメインカメラだけあってホワイトバランスも良い。 広角カメラによるロスレス2倍ズームは撮影したピクセル数は通常の広角撮影時と変わらない(どちらも4.096×3,072px)。 望遠3倍ズームはさらにHyper Clarity機能によるデジタル30倍ズームまで対応している。

■さらにブレなくなった動画撮影

 「Zenfone」シリーズのメインカメラには6軸の物理的なジンバルが搭載されており、動画撮影時は強力な手ぶれ補正機能としてはたらく。本機からは『Gimbal Stabilizer 3.0』として補正機能がさらに強化された。実際にどれほどの補正力があるのか。補正なし、Adaptive(やや強い補正、わずかにクロップ)、Hyper Steady(最強の補正、さらにクロップ)の3つの動画を撮影してみたが、スマホを構えて走りながら動画を撮影したが、やはりHyper Steadyのブレなさは圧倒的。

 その分、電子手ブレ補正による画角のクロップも大きくなるが、これだけブレがなくなるならアクションカムのような大胆な撮影も試してみたくなる。丁寧に構えるならAdaptiveの補正力でも十分な場面は多いだろう。 総じて、カメラ機能は全体的に高水準にまとまっている。特に広角カメラはダイナミックレンジが広く、人の目で見た印象に近い描き方だと感じた。ハードウェア的にはベースとなっている『ROG Phone 8』と同等のカメラ性能だ。

■オンデバイスAI機能を豊富に搭載

 『Zenfone 11 Ultra』にはもうひとつ、AIスマホとしての顔もある。ネットワークに繋がずローカルで動作するオンデバイスでのAI機能がいくつか搭載されており、AI時代を見据えた機能にも抜かりがない。「AI文字起こし機能」「AI通話翻訳機能」「AI壁紙生成機能」「AI画像検索機能」「AIノイズキャンセリング」の5つの機能が紹介されている。 このうちのひとつ「AI壁紙生成機能」を紹介しよう。作りたい壁紙のイメージを選んで生成すると、数十秒で新たな壁紙が生成される。初使用時はキットをDLする必要があり、容量もなかなか。

 他の機能だと「AI文字起こし機能」は、レコーダーで録音した音声をテキストに起こしてくれるというもの。インタビューや議事録の起こしとして、ビジネスツールとして活用できそうだ。いずれもオンデバイス、すなわちネットに繋がってなくても使用できる。

 また、AI機能と関係はないが筆者が特に便利に感じたのが「VIdeo Genie」だ。ROG Phone 8シリーズでも使えた機能だが、YouTubeなどの動画アプリをバックグラウンドでも再生できるというもの。 ディスプレイ側面に配置できるエッジツール内にYouTubeアプリを配置し、Video Ginieでバックグラウンド再生に対応させておけば、YouTubeの画面を閉じても音楽を再生できる。広告などはスキップできないが、ちょっとしたプレミアム版のような使い方ができるわけだ。BGMを再生しながらブラウザで探しものをしたり漫画を読んだり、便利な使い方ができる。

■手のひらサイズの、その先へ

 ハイエンドなゲーミングスマホであるROG Phone 8シリーズをベースにしているだけあり、現行のAndroidとしては最高峰の性能をほこる。ソフトウェア面ではAI機能をはじめユニークな機能も網羅しており、自分なりのカスタムも楽しめるだろう。

 しかし、Zenfone=コンパクトといった点に魅力を感じていた人にとっては「Zenfoneも普通のスマホになっちゃったかぁ」と思ってしまう気持ちもやむなし。自分が求めているものは性能なのか、あるいは小型さなのか、そこが評価の分かれ目になるだろう。あるいはややお値打ちな『ROG Phone 8』として見ることもできなくはない。

 小型という唯一の個性を手放すことで得たものは、決して少なくない。それらに魅力を感じた人であれば、『Zenfone 11 Ultra』は手のひらを超えて生活そのものに馴染むスマホとなってくれるだろう。ちなみに「ウルトラのつかない小型モデルが来るのでは!?」と期待したいのだが、現状その予定はないとのことだ。