創業10周年の隠し玉「VAIO Vision+」を速攻レビュー、これがブランド初の14型モバイルディスプレーか!!

AI要約

VAIO株式会社が設立10周年を迎え、記念日に14インチモバイルディスプレー「VAIO Vision+」を発売。軽量なカーボン素材を使用し、上下2画面設置が可能。

VAIO Vision+は16:10のWUXGA液晶を採用し、作業効率を高める。USB接続で楽にセットアップ可能で、充電しながら作業も可能。

価格は5万4800円で、薄軽仕様のモバイルディスプレーとして日本人ならではの発想と努力で実現された製品。

創業10周年の隠し玉「VAIO Vision+」を速攻レビュー、これがブランド初の14型モバイルディスプレーか!!

7月1日で設立10周年を迎えたVAIO株式会社。その記念すべき日に発売されたのが、ハイブリッドワーク時代に作業効率を高める14インチモバイルディスプレー「VAIO Vision+」だ。カーボン素材を用いた超軽量ボディーとこだわりのコンセプトはVAIOイズムの表われ。そんな、本製品をレビューする。

モバイルディスプレーに革新をもたらす

 アルプスの山並みをバックに佇むVAIO本社の安曇野工場。ソニーからVAIOとして独立したときに訪れてから、もう10年が経つのかと思うと感慨深い。激動の時代といっても過言ではないこの10年を、VAIOの魂はそのままにビジネスシーンで活躍するモバイルマシンを数多く提供してきた。

 

 そんなVAIOから、新たにモバイルディスプレー「VAIO Vision+ 14」が発売された。モバイルワークが浸透したいま、外出先でも2画面構成で作業したいというニーズは高まっている。作業効率を考えると、やはりディスプレーのサイズは大きいほうが断然いい。モバイルノートでも4K解像度のものはあるが、そもそもの画面サイズが大きくないと文字が細かくなりすぎてあまり意味がない。むしろ、フルHDでも2画面あったほうが、作業環境は広くなる。

 

 とはいえ、モバイルノートとモバイルディスプレーの両方を持ち運ぶとなると、荷物がかさばるし重量も気になる。作業効率アップのためとはいえ、苦労して持ち運ぶというのは本末転倒だ。そこでVAIOは、モバイルディスプレーに革新をもたらすべく、超軽量でかつ堅ろう性があり、上下に画面を並べられる製品を目指したのが、VAIO Vision+の始まりだ。

 

 まずは、超軽量かつ堅ろう性を実現するために、カーボン素材を採用。熱可塑性カーボン(CFRTP)を使用し、熱プレスをかけることで立体成型する手法を開発した。ボス(基板や部品を支える円筒形のもの)やリブ(強度を稼ぐ凸状の突起)も一体成型されるので、軽量かつ強度を確保できる。

 

 また、この熱可塑性立体成型カーボンは、部品加工工程削減により加工時に発生するCO2の削減や、金属を含まず溶かして再生可能にしやすい利点もある。

 

上下2画面設置へのこだわり

 モバイルディスプレーの設置方法としては、ノートPCの左右のどちらかに置くというのか一般的だ。ただ、視線移動的には左右だと首を横に振らなければならず、画面移動が頻繁だと意外と疲れる。より効率がいいのは上下での配置で、これだと視線移動だけで済む上、常に正面を向いているのでキーボードでの入力がしやすい。さらに設置スペース的にも、省スペースで済むので、外出先でテーブル幅が限られている場合にも優位だ。

 

 ただ、これを実現するために、持ち運び用の本体ケースを利用しようとしたが、かなり苦労したようで、試作に試作を重ね、ようやくたどり着いたのがマグネットで簡単に設置、片付けができ、かつしっかり本体を守る形状だ。

 

 本体背面にはスタンドが付いており、それを使えばモバイルノートの左右に横置きで設置可能。そして、このスタンドをケースに差し込むようにすると、上下2画面構成での設置が可能となる。スタンドはアルミを採用。絞り穴により軽量化を図り、レーザー刻印によりシールを無くし見た目的にも美しい仕上がりになっている。

 

 一方で、縦画面として利用したいケースも考えられる。その場合は、ちょっと裏技的だが、ケースの組み立て方を変えることで、縦置きも可能となっている。

 

16:10のちょい縦に広い画面を採用

 画面は16:10のWUXGA(1920×1200ドット)IPS液晶を採用。縦に少し広いので、エクセルの表を表示するときはより見やすくなる。カラーはアンバーブラックで、サイズは約312(W)×211.1(D)×3.9~12.4(H)mmで重量は約325g。これは14インチサイズ以上のモバイルディスプレーとしては世界最軽量*だ。

 

*14.0型ワイド以上のモバイルディスプレイにおいて。2024年6月14日時点 ステラアソシエ調べ。

 

 輝度は400cd/平方メートル、コントラスト比は1200:1と太陽光による明るいところでも十分見やすく、電源はモバイルノートとUSBケーブルで接続つなぐだけ。映像もDisplayPort Alternate Modeにより入力するので、ケーブル1本で済む。USBの口は2つあり、もう一方にモバイルノート用の電源を接続しておけば、充電しながら作業ができる。

 

 本体背面には、輝度を調整するボタンがあるので、明るさの調整が可能。電源ボタンは用意されていない。映像信号が入力されたら自動的に表示される。

 

作業効率アップに欠かせない2画面環境

 仕事でもプライベートでも、いまや一画面で作業するというのは非効率的。モバイルワークにおいても2画面で作業すべき時代になっている。VAIO Vision+は、本体が非常に軽く、逆にケーススタンドのほうが重い(約440g)というよくわからない状況だが、両方合わせても約765gなので、それでもとても軽く感じる。

 

 ケーススタンドのサイズは14インチモバイルノート程度なので、今使っているカバンに忍び込ませるだけで大丈夫。さっと出して、変形して設置するまで10秒あればことたりるぐらいだ。上下2画面にするというのは、横に並べるより大幅にスペースを取らずに済むという利点もある。また、設置したときにある程度のチルトも可能なので、見やすいポジションに向けられるのも、この製品の特徴だ。

 

 価格は、5万4800円(VAIOストアにて)。パソコンと同時に購入すると、1800円値引きされる。7月1日より予約受付が開始され、最短で7月4日に届く。モバイルディスプレーとしては、それなりなお値段がするが、この薄軽仕様のモバイルディスプレーを実際に見たら納得行くはず。日本人ならではの発想と努力で実現したVAIO Vision+。ぜひ使ってみてほしい。

 

文● 飯島範久 編集●ASCII