ノーベル賞有力候補だった遠藤章さん死去…発見の「スタチン」は脂質異常症治療の「奇跡の薬」

AI要約

遠藤章氏はコレステロールを下げる「スタチン」を発見し、その功績で多くの賞を受賞した日本の研究者である。

スタチンは世界中の高脂血症患者に利用される薬となり、遠藤氏はノーベル賞の候補にも挙がっていた。

遠藤氏は自然から学ぶ姿勢を大切にし、多くの研究者に影響を与えた偉大な先生であった。

 コレステロールを下げる「スタチン」という物質を発見した遠藤章・東京農工大特別栄誉教授が今月5日に都内で死去していたことが11日、関係者への取材でわかった。告別式は近親者のみで行った。90歳だった。

 遠藤氏は秋田県出身。1971年、製薬会社「三共」(現・第一三共)で、6000株のカビやキノコを調べ、薬の候補物質を探す研究に着手した。73年、コメについた青カビから、コレステロールの合成を妨げるスタチンの一種を発見した。

 その後、国内外でスタチン製剤の開発が加速し、世界中の脂質異常症(高脂血症)の患者が利用する薬となった。細菌感染症から人類を救った抗生物質ペニシリンと並ぶ「奇跡の薬」と呼ばれている。こうした功績から、米国の医学分野で権威あるラスカー賞などを受賞し、ノーベル賞の有力候補にも名が挙がっていた。

 大学院時代から約17年間にわたって遠藤氏の指導を受けた東京農工大の蓮見惠司教授(生化学)は「自然から学ぶ姿勢を何より大切にしていた。偉大な先生だった」と振り返った。