不気味なのになぜかハマる! 日本ホラー漫画家を代表する存在・伊藤潤二の大規模展

AI要約

ホラー漫画家・伊藤潤二の作品を世界中で高く評価される展覧会が開催されている。

展示では代表作や描きおろし作品、体験型メディアアートなどさまざまなアプローチで伊藤の世界が堪能できる。

彼の不気味で滑稽な世界観に触れ、その特異性と一風変わった魅力に迫る展示だ。

グロテスクな美学を追求した『富江』シリーズや『うずまき』など、伊藤潤二の作品の魅力を存分に味わえる内容となっている。

また、伊藤の幼少期から現在までの経歴や影響を受けた作品についても紹介されている。

ホラー漫画のアカデミー賞とも言われる米アイズナー賞を受賞し、Netflixでのアニメ化も決定しているなど、伊藤潤二の活躍が世界的に注目されている。

ファンや漫画愛好家だけでなく、幅広い層に彼の緻密なタッチと独自の世界観を楽しむことができる展示となっている。

緻密なタッチでグロテスクな世界を描くホラー漫画家・伊藤潤二。彼の作品は世界30の国と地域で翻訳され、漫画のアカデミー賞とも呼ばれる米アイズナー賞を4度受賞。2023年からNetflixでは彼の漫画をアニメ化した『マニアック』の配信もスタートするなど、今や日本ホラー漫画家を代表する存在だ。

世界が認めるホラー漫画家の不気味と滑稽の世界観に迫る。

そんな伊藤初の大規模展「伊藤潤二展 誘惑」が話題を呼んでいる。「当館には伊藤作品のファンもおり、念願の企画展が実現しました。伊藤作品にはホラー漫画という枠では語り尽くせない面白さがあります。怖さとユーモアを自在に行き来する展開、ユニークなキャラクター造形、何といっても美麗な作画に圧倒されます」 (世田谷文学館学芸員・加藤信元さん)

そんな魅力を伝えるため、会場では様々なアプローチで空間を演出。序章で伊藤の海外での輝かしい受賞歴に触れた後は、第1章に代表作「富江」を中心に美醜が共存した作品を、第2章では、「死びとの恋わずらい」「うずまき」「双一」「首吊り気球」など、ごくありふれた日常に存在している恐怖をテーマとした作品を取り上げる。第3章では「中古レコード」「アイスクリーム・バス」「血玉樹」などを中心に迫力ある扉絵を、最終章では「伊藤潤二の猫日記 よん&むー」「ノンノン親分」などの作品を通じて、5歳から楳図かずおや古賀新一らの怪奇漫画に熱中し、自らも怪奇漫画を描き始め、歯科技工士から漫画家へと転身した伊藤の幼少期から現在までを、愛用品なども含めて紹介する。

特に今回はメインビジュアル《富江・チークラブ》や《禍々しき桐絵》など描きおろしも多数。また「うずまき」をモチーフとした体験型メディアアートや、作品に登場する身長2m超えの激痩せファッションモデルの“淵さん”と遭遇できるコーナーもユニークだ。

不気味なのになぜかハマる伊藤作品。かつてない規模で開催される本展を見ればさらに、その特異性、唯一無二の世界観の虜になりそうだ。

精緻な画力を満喫できる代表作「富江」。入り口ではメインビジュアル《富江・チークラブ》がゲストを迎える。

富江 ジェイアイ/朝日新聞出版

「富江」は美しい黒髪とホクロが印象的な妖艶な美女。彼女の魅力に狂った男たちは、異常な殺意を向けるが…。

富江の世界 ジェイアイ/朝日新聞出版

級友の首吊り自殺後、突然自分そっくりな首の気球が迫ってくる。2023年Netflixでアニメ化された傑作。

首吊り気球 ジェイアイ/朝日新聞出版

意味もなく謝罪する転校生が来た。彼が土下座するとなぜか脳が溶け出す生徒が続出。謝罪の真意とは…。

溶解教室 伊藤潤二 (秋田書店) 2014

伊藤潤二展 誘惑 世田谷文学館 2階展示室 東京都世田谷区南烏山1‐10‐10 開催中~9月1日 (日) 10時~18時 (入場は閉場の30分前まで) 月曜 (7/15、8/12は開館) 、7/16、8/13休 一般1000円ほか TEL:03-5374-9111

いとう・じゅんじ 1963年、岐阜県生まれ。ホラー漫画家。代表作の「富江」シリーズや「うずまき」など映像化された作品も多数。2023年、第50回アングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞を、サンディエゴ・コミコンでインクポット賞を受賞。東川哲也/朝日新聞出版

※『anan』2024年5月22日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)

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