作品をお客さまに育ててもらった! 「カラオケ行こ!」実写映画におけるキャラクタービジネス

AI要約

新型コロナウイルスの影響を受けた昨年の興行収入を振り返ると、アニメ作品が好成績を収めた一方、邦画実写はまだ回復途上であることが明らかになった。

しかし、今年の邦画実写作品にはヒット作が増え、個性豊かな中規模作品も観客に好評を得ている。新型コロナウイルス禍にも関わらず、多様な題材を取り上げた作品が注目を集めている。

特に「カラオケ行こ!」という作品は異例の興行収入を達成し、原作の人気も急上昇している。これらの動向から、邦画実写が再び勢いを取り戻している様子がうかがえる。

作品をお客さまに育ててもらった! 「カラオケ行こ!」実写映画におけるキャラクタービジネス

新型コロナウイルスが5類に分類されて1年がたった。昨年の年間興行収入は2214億8200万円で2000年以降5番目の好成績を記録した。アニメの大ヒット作が目を引いたが、改めて見てみると「THE FIRST SLAM DUNK」(158.7億円)、「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」(138.8億円)、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」(140.2億円)で1年間の興行収入の約20%を占めていることになる。

それに反して邦画実写はまだまだ回復途上。シリーズ、テレビ番組の劇場版を除くと10億円以上が11本。新型コロナウイルス以前の5年間では20本を前後するあたりが当たり前だったので物足りない。昨年担当した「アナログ」は12.2億円と大ヒットした。しかし、もっと数字が上振れしてもよいポテンシャルを持った作品だったと感じている。

そんな邦画実写にモヤっとした思いを抱えたまま、明けて24年も5月になった。今年も3分の1を終えて少しうれしい兆しが見えてきた。邦画実写のヒットが目についてきた。「ゴールデンカムイ」や「変な家」、「4月になれば彼女は」のブロックバスター作品だけでなく、「カラオケ行こ!」、「夜明けのすべて」、「マッチング」など個性あふれる中規模作品が観客の心をつかんだのだ。

「カラオケ行こ!」はコミック原作でやくざと中学生のカラオケを通した年を超えた友情、「夜明けのすべては」は小説原作でパニック障害・PMS(月経前症候群)の2人、「マッチング」はオリジナルスリラーで二転三転の物語を描いている。なかなか、新型コロナウイルス禍に見舞われた邦画実写では難しい題材だが堂々のヒットを記録している。

そんな中でも、2004年公開「世界の中心で、愛をさけぶ」以来の邦画の勝利の方程式、「ONE LOVE,ONE DEATH」(ラブストーリーがあって、その中の誰かが死ぬ)と最もかけ離れた作品だと思われる「カラオケ行こ!」は5月6日時点で7.8億円の興行収入を上げている。同じくKADOKAWAから発売されている単行本は映画化決定時の40万部から、80万部と倍増した。すでに配信が始まり、パッケージも発売されているにもかかわらず、5月5日「成田狂児大生誕祭」が行われ、再び劇場にファンが詰めかけたと言うのだ。