この夏流行の兆し?新型コロナの変異ウイルス「FLiRT(フラート)」について、対策と注意点を米専門家医が解説

AI要約

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルスSARS-CoV-2は、新たな変異株「FLiRT」を生み出し続けている。米国ではKP.2とKP.1.1の2つの変異株が急速に広がっており、防御を突破する可能性も示唆されている。

FLiRT変異株は先行するJN.1.11.1の子孫株であり、スパイクタンパク質に変化を引き起こす。しかし、現時点では他の変異株よりも懸念が特に高いという明確な証拠はない。

感染症専門家は、FLiRT変異株に対する慎重な対応が必要であると強調している。未知の変異によるリスクを最小限に抑えるために、注意が必要だ。

この夏流行の兆し?新型コロナの変異ウイルス「FLiRT(フラート)」について、対策と注意点を米専門家医が解説

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルスSARS-CoV-2は、新型を生み出し続けている。最新のものはKP.2とKP.1.1の2つで、変異ウイルス「FLiRT(フラート)」と総称される。KP.2は、直近米国で急速に感染拡大している。米国疾病予防管理センター(CDC)のデータによれば、KP.2は現在、米国における新型コロナウイルス(COVID-19)感染者の25%近くを占めるという。

一方で、KP.2の変異型であるKP.1.1も症例数を増やしており、現在、米国内の新型コロナウイルス感染者の7.5%がこれに該当する。では、FLiRTの変異型とは何なのか、そしてどの程度懸念すべきなのか? 感染症専門医が最新の新型コロナウイルス変異株を解説する。

話を聞いた専門家

トーマス・ルッソ医学博士(ニューヨーク州バッファロー大学教授兼感染症チーフ)

アメッシュ・A・アダルジャ医学博士(ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センター上級研究員)

FLiRT変異株とは、KP.2とKP.1.1の総称。これらは、先日まで米国で最も多く見られた変異型、JN.1.11.1の子孫株である、とニューヨークのバッファロー大学教授兼感染症部長であるトーマス・ルッソ医学博士は説明する。アメリカ感染症学会(IDSA)によれば、「FLiRT」という名前は、スパイクタンパク質における変異の位置から名付けられたもの。「これらはオミクロン株の下位変異株。兄弟のようなものです」。

これらの変異株についての詳細はまだわかっていないが、予備的研究によれば、KP.2はJN.1と比較して、スパイクタンパク質に3つの変化があるとルッソ氏は言う。スパイクタンパク質とは、SARS-CoV-2が細胞に取り付いて感染させるためのタンパク質である。

今のところ、FLiRT変異株が他の最近の新型コロナウイルス(COVID-19)変異株よりも、多くの人にとって懸念すべきものであることを示唆するものはないとされる。しかし、感染症の専門家である、疾病管理予防センター(CDC)のウィリアム・シャフナー博士は、KP.2がこれまでのコロナワクチンに比べ、ワクチンによる防御を突破する可能性を示す、最新のデータがあることを指摘している。