番組で人間ドック受診→がん判明 発症から7年…経過観察中でも麻倉未稀が前向きなワケ

AI要約

麻倉未稀が乳がん克服のストーリーや合唱イベント参加について語る。

がん発見から治療までの経過や再発のリスクについても述べられる。

手術後に意外なほど早く声が出せることを喜ぶ麻倉未稀のエピソード。

番組で人間ドック受診→がん判明 発症から7年…経過観察中でも麻倉未稀が前向きなワケ

『ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO』のヒット曲で知られる歌手の麻倉未稀が、10月19日、20日に神奈川・横浜市開港記念会館で開催される合唱イベント『Neo☆Stars Power Chorus FES 2024』に参加する。西村知美、大西結花、田中美奈子ら1980年代のアイドルがコーラスサークルを結成。麻倉は観客参加型のイベントで合唱の楽しさを伝える。ENCOUNTでは、2017年に乳がんを発症し、現在も病と向き合いながらパワフルに歌手活動を続ける麻倉を取材。その「元気の源」に迫った。(取材・文=福嶋剛)

 乳がん発症から7年。元気に見える麻倉だが、「今も経過観察が続いています」と明かした。

「あと3年の間に再発しなければ一応合格はいただけるそうなんです。ただ、乳がんはゆっくり進行するがんなので、11年目で再発する方もいらっしゃって。これからも検査は続いていきます」

 現在64歳。長期に及ぶ治療が続いているが、それをポジティブに捉えていた。

「病気ってすごく嫌ですし、『毎日、向き合わないといけないのは面倒』って思うこともあります。でも、病気をしたからこそ得られたものって、意外と多いんです。がんになって得られたものをよく『キャンサーギフト』って呼ぶんですけど、私もこの7年間、芸能活動だけでは得られなかったことや出会いもたくさんありました」

 麻倉は2017年4月、TBS系情報番組『名医のTHE太鼓判!』で5年ぶりに人間ドックを受診した時にがんが見つかった。

「個人的にも『人間ドックを受けなくちゃいけない』と思っていたんですが、親友や父親の大病で看病が重なり、しばらく受診できなかったんです。そんなタイミングで(番組内で)告知されたので『まさか』という感じですごくショックでした。一方で『番組で見つかったことに意味がある』とも思いました」

 検査の結果、「ステージ2の乳がん」と判明した。

「実はその時点で私の覚悟は決まっていました。というのも、36年お世話になった女性プロデューサーが、末期の肝臓がんで、私が告知を受ける前の年に亡くなりました。彼女は『慣れ親しんだ我が家で最期を迎えたい』と決断しました。とても明るい性格で彼女らしい毎日を過ごしていました。そんなプロデューサーの生きざまを見て、生きる意味や覚悟を決めることを学びました」

 しかし、治療が始まるまでの2か月間はとても不安だったという。

「がんが見つかったのは都内の病院でしたが、神奈川県から毎日通うことを考えると、自宅から近い病院を探すことになりました。覚悟を決めたとはいえ、病院が見つかるまでの数週間は『自分の体はどんなふうになってしまうんだろう』って八方ふさがりな気持ちで、すごく不安でした。でも、幸いなことに姉の知り合いの病院が近くにあることを知り、そこの女性の先生が最初に検査した病院の先生とつながりもあったので、6月には手術、治療が始まりました。先生が手術の前に『3日経ったら歌えるわよ』と言ってくださり、とても安心しました」

 左乳がん全摘出と乳房再建という大変な手術だったが、無事成功した。麻倉に「今まで通りの声が出るか心配はなかったのか」と聞くと、「翌日にはもう声を出していました」と笑って答えた。

「『どこまで声が出るのかしら』と思って、個室だったこともあり、恐る恐る声を出してみるとちゃんと出たんです。前日手術したばかりなので傷口は痛むんですが、『意外と声が出るんだ』って。それで2日目にベッドから起き上がり、小さな声でワンフレーズ歌ってみました。最初に歌ったのはやっぱり『ヒーロー』でした(笑)。すると、ちゃんと声が出て歌えたんです。次に『アメイジンググレイス』を歌いました。小声で歌ったつもりでしたが、廊下中に聴こえていたそうです(笑)。検温にやってきた看護師さんは、わざわざ歌い終わるまで部屋の前で待っていて、私が『ごめんなさいね』って言うと、『いいえ。みなさん楽しみにしてらっしゃるんで、どんどん大声で歌ってください』ですって」