aiko、6年ぶりのフリーライヴ。夏の終わりに刻まれた〈生涯忘れることはない〉熱と気持ち

AI要約

aikoが8月30日、サザンビーチちがさきで〈Love Like Aloha Vol.7〉を開催した。6年ぶりの待望のライヴだったが、台風10号の影響もあり、波乱の中で開催された。雨にも負けず、感動のライヴが行われた。

ライヴではaikoがファンとの交流を楽しむ姿があり、縁の下の力持ちとして会場全体を盛り上げた。雨の中でも力強く歌い、観客とのコミュニケーションを大切にした。

aikoのライヴには感動的なシーンが多く、特に予定外の演出やフレーズにはファンの心を掴む力があった。夏の終わりを感じさせるライヴだったが、熱い思い出は心に残る。

aiko、6年ぶりのフリーライヴ。夏の終わりに刻まれた〈生涯忘れることはない〉熱と気持ち

aikoが8月30日、サザンビーチちがさきで〈Love Like Aloha Vol.7〉を開催した。

〈Love Like Aloha〉とは、aikoの野外フリーライヴシリーズの名称。不定期開催ながら〈あのaikoがフリーライヴを?〉〈しかもビーチで?〉と毎回多くの人が集まるが、今回の〈Love Like Aloha Vol.7〉は波乱万丈だった。6年ぶりに待望の開催ということで、aikoもファンもかなり楽しみにしていたにも関わらず、ライヴの2日前に台風10号が九州に上陸したのだ。刻々と変わる状況をチェックしながら、本当にできるかどうか、心配していた人が多かったことだろう。きっとaiko自身も同じように心配しながら、来場予定のファンや準備をするスタッフのことを気に掛けつつ、開催を願っていたはずだ。

そして当日。夕方の茅ヶ崎では雨はすっかり止んでいて、ライヴは無事に開催された。各地からやってきたaikoファンも地元の人たちも一緒に列を作りながら、細い一本道を歩くこと約20分。会場のサザンビーチちがさきは住宅街の先にあり、ビーチ沿いのマンションでは〈aikoおかえり〉という横断幕が下げられていた。マンションのベランダにはたくさんの人が出てきていて、このあたりに住んでいる人たちもこの日を楽しみにしていたことが伺える。もちろんファンもaikoのライヴを待ち望んでいて、開演時刻近くになると、観覧エリアのどこかからaikoコールが発生する。

ライヴは「58cm」からスタート。「この時間だけはみんなの気合いで雨が止まってる」と語り、観客に感謝を伝えたaikoは喜びのまま花道に寝転がる。とにかくうれしそうだ。もちろんファンも同じ気持ちで、開催できた喜びを分かち合いながらライヴは進んでいった。フリーライヴということでたくさんの人が集まっているから、縦長の観覧エリアは砂浜のかなり奥の方にまで及んでいる。aikoは長い花道を何往復もして、最後方のエリアにいる人にも、ビーチ脇の海の家にいる人にも、声を掛けたり手を振ったりしながら唄っていた。ステージが遠くても、心は近く感じる。そのことをうれしく思いながら観客が盛り上がれば、aikoの気持ちも高まり、ともにテンションを上げていく。

aikoはライヴの中盤で、〈Love Like Aloha〉恒例のサザンオールスターズのカヴァーを含むメドレーを披露。アカペラによる「KissHug」の冒頭では、aikoの歌声と波の音が二重奏を奏でるという、このロケーションならではの場面があった。ここまで何とか天気がもっていたが、メドレーの終盤に入ると強い雨が降り始めた。それでもaikoと観客のエネルギーは弱まらない。メドレーのラストを飾ったライヴ定番曲「be master of life」のコール&レスポンスはとても力強かった。

aikoが動くたび、まとめた髪から雨が滴り落ちている。ハードな環境でもヴォーカルは絶好調で、最新アルバム『残心残暑』収録曲の「skirt」はロングトーンもフェイクも最高だった。歓声を上げて、興奮を伝える観客も素晴らしいが、すてきなやりとりはそのあとにもあった。観客がつけたスマホライトの光に感動したaikoが、感謝を伝えたいという気持ちからか、セットリストに入っていなかった「カブトムシ」を唄ったのだ。光の海を前にして、「……きれい」と呟くaiko。その後、もともとセットリストに入っていた「キラキラ」を、まさにキラキラとした光景の中で唄い始める。さらに、「夏が帰る」で〈雨よ止んでお願い〉と唄えば、本当に雨が止んだから驚きだ。ラストには、台風で海上からの打ち上げ花火を断念した代わりに「私が最後に花火を上げます!」と「花火」を届けた。

まるで最初から予定されていた演出かのような、美しく、奇跡的な展開。ライヴを無事に開催できるかどうか不安だったからこそ、aikoもファンも強い思いでライヴに臨んでいた。その思いが、さまざまドラマを呼んだのだろう。

特別な場面尽くしのライヴだったが、やはり、夏の終わりに聴く「カブトムシ」は心に響いた。アルバム『残心残暑』が恋愛の最も暑い季節ではなく、熱が冷めたあとにフォーカスした作品であるように、人が人を想う気持ちも、互いに愛を伝え合える関係性も、自分の魅力も、あの人の魅力も、人の命も、いつか終わりがきてしまう。だからこそ、今この瞬間に生まれた熱は大切にしたい。熱に突き動かされながら、雨に濡れるのも気にせずライヴして、みんなで汗だくになりたい。その記憶を、できれば忘れずにいたい。この日急きょ唄われた〈生涯忘れることはないでしょう〉というフレーズには、aikoのそんな気持ちが込められていたのではないだろうか。

「Love Like Aloha vol.7」が終わり、9月に入ってからは夜風が涼しいと感じる日も増えた。夏の終わりが見えてきたが、私の心の中には、aikoから受け取った熱がまだリアルに残っている。残暑なんてうっとうしいと毎年思っていたけど、この幸せな余韻はもう少し噛み締めていたい。

01 58cm

02 ストロー

03 帽子と水着と水平線

04 荒れた唇は恋を失くす

05 相思相愛

06 ハニーメモリー

07 メドレー

  涙のキッス

  アンドロメダ

  ボーイフレンド

  雲は白リンゴは赤

  あなたは優しい

  KissHug

  果てしない二人

  透明ドロップ

  milk

  みんなのうた

  be master of life

08 よるのうみ

09 アップルパイ

10 skirt

11 愛の病

12 キラキラ

13 夏が帰る

14 星の降る日に

15 花火