社会との繋がりを求め 爆笑問題・太田光は自らのスタンスを貫き通す
太田光は炎上を恐れず、自分の意見を貫き通す姿勢が注目されている。
彼は自らの発言が炎上することを予測せず、常に真剣にテレビでの表現を模索している。
太田は自分を貫き通すことで、人に嫌われるよりも自分に嫌われることを避ける姿勢を示している。
【今週グサッときた名言珍言】
「狙うもんじゃないからね、炎上って」
(太田光/テレビ朝日系「バクっと令和問題」8月11日放送)
◇ ◇ ◇
爆笑問題の太田光(59)といえば、いまだにギリギリの発言を繰り返し、いわゆる「炎上」と隣り合わせの芸人だ。そんな太田が放った一言を今週は取り上げたい。相方の田中裕二が「自然炎上だから、この人の場合」と笑うと、太田は「本当に気をつけてるのに炎上する!」と続けた。
2021年10月31日に放送されたTBSの選挙特番で太田は司会を務め、政治家たちに鋭い質問を浴びせた。しかし、これが「無礼だ」「品がない」などと、かつてないほど大炎上した。このときも太田は本番中、手応えがあったという。さぞ絶賛されているのではないかと思っていたら、逆に炎上していて落ち込んだ。
「その都度、『ああ、失敗した』って一喜一憂しながら……って感じですね。社長に怒られて、謝って謝って……っていう。『もう二度とトラブルを起こすまい』っていうのの繰り返し(笑)」(太田出版「Quick Japan」vol.156=21年6月24日発売)
世間的なイメージでは、太田はそんなネットの意見など気にしないと思われがちだが、実はそうではない。「見てもろくなことはないっていうのはわかっているんだけど、気にしないほうが無理。漫才がウケたか気にするのと同じように、自分が出た番組がどのように世間に受け止められたかというのは気にします」(小学館「週刊ポスト」24年4月26日号)と言い、逆に気にしないとダメだと語る。「社会と繋がっているのが大衆芸能だから」(同前)と。
そのスタンスはデビュー当時から一貫している。チェルノブイリ原発事故や中国残留孤児を扱ったネタを披露。「テレビでは流せない」と散々言われつつも、「テレビって昔からがんじがらめのメディアだからね。ダメな言葉の線引きが変わっているだけで本質的にはほとんど変わっていない」(同前)とあくまでも大衆が見ることができるテレビでギリギリ可能な表現を模索し続けた。
太田が主張するのをやめないのは「自分の思ってることしか話せないから」(「Quick Japan」=前出)。だから、言っているときにそんなに大ごとになるなんて思っていないという。一時は「#太田光をテレビに出すな」がSNSのトレンド入りすることもあった。それでも「人に嫌われることより、自分に嫌われるほうがいやだから」(KADOKAWA「ダ・ヴィンチweb」24年6月12日)と自らを貫き通している。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)