『虎に翼』航一が寅子に伝えたまっすぐな“愛の告白” 「僕の妻ですと紹介したいんです」

AI要約

第103話では、航一が家族に「結婚したら僕が佐田姓になる」と提案し、寅子との議論が繰り広げられる。航一の真意は寅子に打ち明けられ、寅子の旧姓を使って仕事をすることの難しさも描かれる。

寅子は自分らしく生きること、自分が折れるべきと思うことが尊重されるべきだと考え、航一との関係について真剣に向き合う。最終的には、何を大切にするかの考え方に気づき始める。寅子と航一の決断が注目される。

第103話では、登場人物たちの言葉が心に響く。それぞれが自分のこだわりや思いを持ち、それを尊重しながら生きていこうと努力している姿が描かれる。

『虎に翼』航一が寅子に伝えたまっすぐな“愛の告白” 「僕の妻ですと紹介したいんです」

 『虎に翼』(NHK総合)第103話では、星家で団らんの食事が進む中、航一(岡田将生)が「結婚したら僕が佐田姓になる」と家族に提案した。航一の継母・百合(余貴美子)は反対する。朋一(井上祐貴)やのどか(尾碕真花)も巻き込んだ論争が繰り広げられる中、寅子(伊藤沙莉)は航一たちを制止すると、こう言った。

「いつ、私が、航一さんに佐田姓になってほしいと言いましたか?」

 第21週は「夫婦別姓」や「同性婚」がテーマとなっている。寅子がさまざまな人と意見を交わす中で自分の思いと向き合い、少しずつ自分なりの答えを導き出そうとするさまに、背中を押される思いになる人もいるのではないだろうか。第103話では特に、登場人物たちの台詞が心に響く。各々の“こだわり”や思いやりがひしひしと伝わってくる。

 たとえば、航一の寅子への思いはまっすぐだ。航一は時折言葉足らずで、寅子に真意をうまく伝えることができない。だが、寅子に対して打ち明けた「寅子さんの夫と名乗りたい。僕の妻ですと紹介したいんです」という本心は、直球の愛の告白につながる。

「寅子さんを妻だと紹介することは、世界中の人に、この人が僕の愛する人だと伝えることです」

 このまっすぐな思いが届いたからこそ、寅子はなぜ自分が姓を変えたくないのかをはっきり口に出すことができたと思う。そして「佐田寅子として歩んできた道」をなくさないための方法を探るべく、桂場(松山ケンイチ)との場面につながる。

 結論から言うと、寅子が旧姓を使って仕事をすることは認められなかった。しかし、桂場の言葉がひっかかり、寅子が思わず声を荒らげて言った言葉は、桂場だけでなく視聴者の心をも捉えたはずだ。

「どうしてもこだわりたいことが人にはそれぞれあるんです。私のこだわりをくだらないと断じられる筋合いはありません」

 寅子と優未(毎田暖乃)が山田轟法律事務所で出会った人々との会話も、1人1人の思いが感じられて心揺さぶられる。山田(中村中)や千葉(ニクまろ)は「頑張ったり、理由を考えたり、説明したりしなきゃ、自分が認められないことがずっと苦しい」「僕らだけ、いつも理由が求められる」と明かし、よね(土居志央梨)は「理由がいる時だってある」「私は男になりたいわけじゃない。女を捨てたかっただけだ」と言った。彼らの意見を聞いて「はて?」が浮かんだ寅子がぶつぶつ呟きながら頭の整理を始める姿はコミカルだが、誰もが1人1人が違う意見を持ち、自分らしく生きる道を歩もうとしていることが分かる場面だった。

 そして物語の終わり、寅子は名字について1つの結論を出す。それは、心から夫婦になりたいと思うからこそ、自分が折れるべきだというものだった。すると、話を聞いていた遠藤(和田正人)は自分がなぜ轟(戸塚純貴)に惹かれたのかを話したうえで、寅子にこう伝える。

「自分が曲げたくないものを折るって、自分も、折らせた相手も傷つけることなんです」

 遠藤の言葉は優しくも核心を突く。ハッとさせられた人は少なくないだろう。

 たくさんの噛み締めたくなるような台詞が登場した第103話。航一が「婚姻届を出して行う結婚」をやめると提案して幕引きとなったが、寅子と航一がどのような議論を行うのか、どう決断を下すのか気になるところだ。