生誕100周年・安部公房、写真家としての顔 どんな内容を切り取った? 映画『箱男』公開間近で注目

AI要約

安部公房の写真集が新潮社から発売され、彼の全貌が明らかになる。

安部公房は作家としてだけでなく写真家としても活躍し、都市や孤独などのテーマを切り取った作品を残している。

写真集には約100点の作品が収録され、安部公房自身のコメントも掲載されている。

生誕100周年・安部公房、写真家としての顔 どんな内容を切り取った? 映画『箱男』公開間近で注目

 世界的に知られる作家、安部公房が撮影した写真を集めた本格写真集が新潮社から発売された。生誕100周年を迎えた安部公房の全貌が、この写真集を通じて明らかになる。彼が撮影した写真は、〈作家の余技〉を超えた作品群となっており、都市、廃墟、雑踏、寂寥、孤独、自由といったテーマを切り取る。

 安部公房(1924年、東京生まれ)は、東京大学医学部卒業後、1951年に「壁」で芥川賞を受賞し、1962年に発表した『砂の女』で読売文学賞を受賞、さらにフランスでは最優秀外国文学賞を受賞した。他にも戯曲「友達」で谷崎潤一郎賞を受賞している。

 『箱男』『砂の女』『燃えつきた地図』『壁』『他人の顔』『方舟さくら丸』など、多くの前衛的作品を世に送り出した安部公房。その傍らには常にカメラがあった。彼はカメラという「箱」の中から、何を見ていたのだろう。小説に取り入れられたカットをはじめ、都市に生きる孤独や不安を撮影した多くの作品から厳選され、現代写真家としての足跡を辿ることができる。

 本書は、安部公房の全集や新潮文庫版を手掛け、その先鋭的なデザインで知られるブックデザイナー近藤一弥氏が、安部公房が遺したおよそ1万点の写真から厳選し、世界初公開の作品を含む約100点を収録している。また、安部公房がインタビューに答えた「写真について」(『都市への回路』より)も併録されている。ファン必読の一冊、ぜひチェックしてみよう。