世界中の医療情報を学習させた医療AI・エルカノが弾き出す治療方法~『ブラックペアン』監修ドクターが解説 vol.36~

AI要約

二宮和也主演で6年ぶりに日曜劇場に帰還した『ブラックペアン シーズン2』。医学監修を務めるのは山岸俊介氏で、シーズン1と同様に医学的解説が充実している。

4話5話では美和さんのお母さんである戸島弁護士のオペに焦点が当てられ、戸島先生の手術方法に関する議論が展開される。特に冠動脈手術の難しさやリスクについて詳細に説明されている。

医学的な用語や手術の内容が分かりやすく解説されており、手術実施者の適性や重要性についても触れられている。

世界中の医療情報を学習させた医療AI・エルカノが弾き出す治療方法~『ブラックペアン』監修ドクターが解説 vol.36~

二宮和也主演で6年ぶりに日曜劇場に帰還した『ブラックペアン シーズン2』。シーズン1に引き続き、医学監修を務めるのは山岸俊介氏だ。

前作で好評を博したのが、ドラマにまつわる様々な疑問に答える人気コーナー「片っ端から、教えてやるよ。」。今回はシーズン2で放送された4話と5話の医学的解説についてお届けする。

■美和さんのお母さん、戸島弁護士のオペ

4話5話は美和さんのお母さんで弁護士の戸島弁護士のオペでした。

戸島先生は病院にいきなりいらっしゃり天城先生の手術を即刻中止するように抗議します。

「最近の冠動脈バイパス術に関する論文を集めました。虚血性心疾患のために冠動脈を直接吻合されるとのことですが狭窄部位の同定は難しく切除するのは非常にリスクが高いです。内胸動脈と冠動脈をバイパスすれば血管を切除せずとも十分に成績が良いと思われます」

ここでの戸島先生のセリフが現在の冠動脈手術の現状をズバリ解説し、ダイレクトアナストモーシスが天才のみができる手術であることを示してくれています。

手術というものは一般的に公共性が重要視されており、どの外科医が行ってもまずまずの成績を出せることが1番大切です。戸島先生は内胸動脈と冠動脈のバイパス(LITA-LAD リタエルエーディー)で充分成績が良いと、まさにぐうの音も出ない主張を展開し教授始め医局員たちも何も言えない状況となりました。

同定(どうてい)とは医学生が解剖の授業で最初に覚える単語で、「ある物があるべき場所にあるか確認する」といった意味です。この場合、冠動脈の狭窄部位(狭い部分)を手術で外から見て確認すると言った意味で、狭窄部位はエコーなどで外から確認することはできるのですが、冠動脈の根本の部分に発生しやすいので心臓の奥の方(大動脈の近く)を探る必要があるわけです。

左冠動脈の根本は非常に深く大動脈の裏から発生(肺動脈や心臓の筋肉、左心耳、左房が近い)するために到達するのが困難なので狭窄部位の確認は難しいし、さらにその部分を切除すること縫合することは技術を要し、周りの筋肉や血管(左房左心耳や肺動脈等)を傷つけるリスクが高いというわけです。