「理想に縛られた子育て」から解放…しんちゃん声優が共感した「野原みさえの母親力」

AI要約

『クレヨンしんちゃん』は家族愛をテーマにした国民的アニメであり、主人公のしんのすけと野原家の絆が重要な要素となっている。

声優の小林由美子さんは、自身の子育てに『クレヨンしんちゃん』から学び、完璧ではなくても愛情を注ぐことが大切だと気づいた。

最新作『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』では、しんのすけと愛犬・シロの絆や成長が描かれ、家族の絆が再確認される。

「理想に縛られた子育て」から解放…しんちゃん声優が共感した「野原みさえの母親力」

 いまや国民的アニメとなった『クレヨンしんちゃん』。8月9日からは最新作『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』も公開されるが、特に映画版では、野原しんのすけ、父・ひろし、母・みさえ、妹・ひまわり、そして愛犬・シロという野原家の「家族愛」が重要なキーワードになることも多く、その大きな魅力となっている。

 本作で主人公・しんのすけ役を務める声優・小林由美子さんは、人気声優であるかたわら、家に帰れば二人の子どものお母さんでもある。そんな小林さんにご自身の家族、そして『クレヨンしんちゃん』の野原家と、ふたつの「ファミリー」について聞いた。

――小林さんは、二人のお子さんを持つ母親としての顔もお持ちです。『クレヨンしんちゃん』に関わっていて、ご自身の子育てに役立ったことはありますか?

小林 みさえさんにはすごく助けてもらっています。特に一人目の子どもが生まれたときに、「子育てはこうしなければいけない」みたいなルールに自分で縛られてしまっていて、けっこう自分を追い込んじゃっていた部分があるんですね。たとえば、手抜きをしてはいけないとか、子どもに120%の愛情を注ぎこまないといけないとか、子どもと話をするときはしゃがんで目線を合わせてお話するんだとか。理想にとらわれてしまって、凝り固まっていた時期があるんです。

――世のお母さんたちは、みんなそうかもしれません。

小林 でも、『クレヨンしんちゃん』を観ていると、みさえは手抜きをするし、子どもに全力で怒るんですよね。それでも家族はちゃんと楽しく暮らしている。それを見て、「ああ、手抜きをしてもいいんだな」、「怒っちゃってもいいんだな」と思えて、肩の力が抜けたことがありました。

 みさえが家の冷蔵庫を開けたら中がグチャグチャになっている……そういう姿を見ると「ああ、冷蔵庫の中がグチャグチャなのは、私の家だけじゃないんだな」とか(笑)。そういう、みさえのゆるい感じに共感しちゃったんですよね。もちろん『クレヨンしんちゃん』はアニメ作品なので、現実の生活よりもデフォルメされた部分があるとは思うんですけど、みさえみたいな子育てがあっても良いんだろうなって。完璧じゃない。でもいつも一生懸命なみさえ母ちゃんに、私は助けてもらったような気がします。そういうお母さん方も多いんじゃないかな。

――『クレヨンしんちゃん』が、子育ての緊張感から解放してくれる。きっとその言葉は多くのお母さんが共感すると思います。

小林 『クレヨンしんちゃん』は笑えて楽しい作品ですけど、大人が見ると、いろいろな発見があったり、ときには優しい気持ちになれたりする。本当に素敵な作品だなって思っています。

――最新作の『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』では、しんのすけと愛犬・シロの絆が描かれるシーンもあります。こういったところも『クレヨンしんちゃん』の魅力ですよね。

小林 シロは野原家の良心で、野原家の中で一番しっかりしていて、しんのすけをしつけてくれているようなところもあるんです。今回の映画では、しんのすけがシロを見つけて、家族の一員にしたという過去のエピソードも描かれています。

 そんなシロが恐竜のナナと出会って、2匹で家族のような関係を築いていく。きっとシロがしんのすけに出会って嬉しかった気持ちを、今度はシロがしんのすけの立場でナナに伝えている。そして、しんのすけは、ちょっと離れたところから2匹を見守っている。そういう関係性が素敵なんですよ。しんのすけはきっと、またもうひとつお兄さんになった気分を味わっているんでしょうね。今回の映画は、そういうひと夏の成長物語になっていると思います。