最難関の美大合格目指す若者たちの「青の時代」 冷めた熱血を描く「ブルーピリオド」 シネマプレビュー 新作映画評

AI要約

漫画『ブルーピリオド』が青春美術映画として映画化され、美大受験を目指す若者たちの鍛錬と競い合いが描かれる。

映画『クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』は、恐竜を現代によみがえらせたテーマパークを舞台にしんのすけたちのドタバタを描く。

両作品は9日から全国公開予定で、それぞれのキャラクターたちの魅力が充分に活かされている。

最難関の美大合格目指す若者たちの「青の時代」 冷めた熱血を描く「ブルーピリオド」 シネマプレビュー 新作映画評

公開中の作品から、映画担当の記者がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。

■「ブルーピリオド」

人気漫画の映画化。若者たちの鍛錬やぶつかり合いを描くのは、スポーツ分野に限らず、競技かるたや水墨画など、文化芸術分野も、その〝バトルフィールド〟になっている。

これは、最難関の美大合格を目指す若者たちがしのぎを削る姿を描いた青春美術映画。タイトルはピカソの「青の時代」から転じて、孤独で不安な青春時代を意味するそうだ。

そのブルーな世界観を萩原健太郎監督が巧みに描いた。眞栄田郷敦は、主人公の矢口八虎を予想外の武骨さで演じた。不器用だが信念を貫き、困難を突破し続ける魅力的な人物に見せる。

同級生のユカちゃんを演じるのは、このところ成長著しい高橋文哉。眞栄田の武骨さとは対極の繊細な芝居で表現し、素晴らしい組み合わせとなっている。

さらに板垣李光人、桜田ひよりも存在感を発揮し、若手実力派俳優たちの見事なアンサンブルにより、一味違った、〝冷めた熱血〟のようなものを楽しませてくれる。薬師丸ひろ子が演じる教師の、太陽のような温かさもすてきだ。

9日から全国公開。1時間55分。バリアフリー上映あり。(健)

■「映画 クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」

「クレヨンしんちゃん」劇場映画の31作目。恐竜を現代によみがえらせたテーマパークがオープン。そこから逃げ出した小さな恐竜ナナは、しんのすけたちと出会う。実はナナはパークの重大な秘密を握っており、しんのすけたちはナナをめぐる危険な争奪戦に巻き込まれる。

小欄は平成31年の「新婚旅行ハリケーン 失われたひろし」で、両親の若き日の出会いを歌ったあいみょんによる主題歌「ハルノヒ」を含め泣かされたクチだが、その頃に比べると、子供向け大作として、きっちりと仕上げた印象だ。ただ、映画版の「ドラえもん」を見ているかのような錯覚も覚えた。

9日から全国公開。1時間46分。バリアフリー上映あり。(健)