二宮和也が“別人”で『ブラックペアン』に帰ってきた! “渡海”の影がちりばめられた幕開け

AI要約

前シーズンの主人公である世良が成長し、新たな外科医天城と出会う物語。天城は渡海に瓜二つでありながらも、異なる魅力を持つキャラクターとして描かれる。

第1話では天城がスカウトされる経緯や彼の驚異的な外科医の腕前が端的に描かれる。天城と世良の出会いから、渡海の存在が強く示唆される。

天城という新たなキャラクターの登場により、物語の展開に興味深さが生まれる。次回以降、どのような展開が待ち受けるのか注目される。

二宮和也が“別人”で『ブラックペアン』に帰ってきた! “渡海”の影がちりばめられた幕開け

 二宮和也が天才的な腕を持つ外科医・渡海征司郎を演じた前シーズンTBS日曜劇場『ブラックペアン』が放送されたのは2018年の4月期のこと。その原作となった『ブラックペアン1988』はドラマで主人公として描写された渡海よりも研修医の世良(竹内涼真)が主軸になって描かれており、かつ続編シリーズの『ブレイズメス1990』と『スリジエセンター1991』には渡海は登場しない。そのため前シーズンの最終話の際に筆者は、ドラマの続編が作られるのであれば、“少し方向性が変わってしまうのではないだろうか”と指摘していた。

 それから6年が経ち、実際に続編が作られることとなったが、再び二宮が主演を務めながらも渡海ではない役柄を演じる。7月7日に放送がスタートした『ブラックペアン シーズン2』の原作としてクレジットされているのは、やはり前述の続編シリーズ2作。今回、二宮が演じるのは天才外科医の天城雪彦。オープニングのタイトルの段階で副題に『ブレイズメス』と記されていることからして、ドラマ前半では『ブレイズメス1990』、後半で『スリジエセンター1991』の内容を描いていくということになるのだろうか。

 なにはともあれ、この天城という新たなキャラクターには、“渡海と瓜二つ”という設定が与えられている。渡海が東城大附属病院を去ってから6年が経過し、世良が外科医へと成長したところから今回の物語は始まるわけだが、彼が仮眠室で生活したりミスをした同僚に大金を要求(冗談で)したりと、かつての渡海の真似をしている点は興味深い。指導医であった渡海にもろに影響された世良が再びドラマの語り部となることで、そこには姿が見えないながらも確実に渡海が存在しているのである。

 概ね今回の第1話は、新たな病院の開業を目指す佐伯教授(内野聖陽)が、天城をスカウトするために世良をオーストラリアまで遣わす一連が描写されていく。海岸で意識を失った少年を救おうとするなかで天城とすれ違う世良は、彼を渡海であると勘違いする。そして学会をドタキャンした天城を探しに競馬場へと出向き対面を果たせば、まっさきに自分の指導医とあまりにも似ていると告げる。渡海と天城、両者が“瓜二つ”であることが強調されると同時に、(主に世良という人物のなかで)渡海の残影が極めて濃いことがまざまざと証明されるのだ。

 とはいえ、かなりぶっきらぼうだった渡海とは対照的に、人当たりも良さそうな天城。もちろんその見た目もさることながら、外科医としての驚異的な腕前も渡海と共通している。そして、天城以外ではできない手術のために天城の行方を探していたパク・ミンジュ(キム・ムジュン)とパク・ソヒョン(チェ・ジウ)の親子に対し、オペを受ける条件としてギャンブルを持ちかける態度に世良は激昂。またもや世良は、渡海とは異なるベクトルの“悪魔”に振り回されるということか。

 放送枠が拡大された第1話ではあるが、天城の外科医としての腕を示す手術シーンは実に端的に描写される。ある意味ではそのスピード感が、彼の技量の高さを証明するものとなっていたといえよう。「オペは芸術」と言い放ち、自分の腕に絶対的な自信を持つ天城。彼が世良から渡海の名前を聞いた時に見せるわずかな表情の変化。これは単なる“瓜二つ”設定だけではない何かが、この先に待ち受けているということだろうか。