戸谷菊之介、浦和希、伊駒ゆりえ、結川あさき オーディションで大役を掴んだ新人声優たち

AI要約

声優業界で新人声優がメインキャラクターに抜擢されるケースが増えており、オーディションでの勝因や演技力に加えて声質や雰囲気が重要だ。

演技力だけでなくキャラクターに合った声質や雰囲気が重視されており、新人声優が大役を掴むためには様々な要素が求められている。

新人声優が挑むオーディションは年々ハードルが高くなっており、競争が激化する中で演技力だけではなくユニークな要素が注目されている。

戸谷菊之介、浦和希、伊駒ゆりえ、結川あさき オーディションで大役を掴んだ新人声優たち

 声優という職業は、アニメや洋画の吹き替えを中心とした仕事であり、役を獲得するためにはオーディションに合格することが不可欠だ。ベテランや知名度の高い人材であっても、多くの声優は、役を得るために常にオーディションに挑戦し続けなければならない。

 そんな中、近年の大作アニメや映画のクレジットを見ると、新人声優たちがメインキャラクターに抜擢されるケースが増えている。声優業界では、役ごとにオーディションが行われることが一般的で、誰しもにチャンスが平等に与えられる環境があるといえる。

 彼らは優れた演技力を持っていることは間違いないが、大役を掴んだ新人声優たちに共通点はあるのだろうか。

■『チェンソーマン』デンジ役・戸谷菊之介

 『チェンソーマン』のデンジ役を務めた戸谷菊之介は、キャラクターにぴったりマッチした声質で役を掴んだ新人声優だ。戸谷菊之介は、2017年のソニー・ミュージックアーティスツが主催する声優オーディション「アニストテレス」を経てデビューを果たし、「Team BareboAt」で緒方恵美に演技の基礎を叩き込まれていったという。

 彼は『チェンソーマン』のデンジ役において、声の作り込みはほとんどしていないことを語っている。監督からも「そのままの声でやろう」という指示があったそうだ。

 同作でアニメーションプロデューサーを務めるMAPPAの瀬下恵介も「“こういう声”という既存作品のキャラクターのイメージから仕上げるのではなく、「デンジはデンジの声」「マキマはマキマの声」として考え抜き、キャスト陣を決めていきました」と語っており、演技力はもちろんのこと、ナチュラルな“デンジの声”を彼が持っていたことがオーディションの勝因だったのだろう。(※1)

■『ブルーロック』潔世一役・浦和希

 とはいえ、近年、声優の育成を目的とした専門学校や養成所が増加し、多くの人が声優を目指すようになっており、競争はますます激化している。今年3月に開催された「第18回 声優アワード」で、声優の市ノ瀬加那とともに主演声優賞に選ばれた浦和希は、彼の名前を知らしめるきっかけとなった『ブルーロック』で、オーディションの状況についてこう語っている。

「『いいところまで行っているかも』と聞いてはいたんですけど、今まではそうなっても受からないことのほうが多かったんですよね。『今回はどうにか受かってほしいな、受からないかな』という気持ちの中での一報だったので、すごく嬉しかったですね」(※2)

 さらに、浦は『ブルーロック』第1話の台本をまるまる暗記し、アフレコの際に台本無しで臨んだというエピソードがある。それほどの努力を重ねられる人物でもなお、オーディションに合格することの難しさを実感しているのだ。

■『【推しの子】』星野ルビー役・伊駒ゆりえ

 一方で、新人ならではのがむしゃらな姿勢や、ひたむきさが評価されることもある。社会現象ともなったアニメ『【推しの子】』に登場する星野ルビーを演じている伊駒ゆりえは、初レギュラー作品でメインキャラクターへの抜擢となった異色の存在だ。

 プロデューサーの山下愼平は、決め手となったのは彼女の演技力に加え、アニメのオーディション自体に初参加だった伊駒が、「オーディション会場の中で一番新人っぽさがあったから。ルビーと一緒に成長していってほしい」と明かしている。新人アイドルとしてひたむきに頑張るルビーのキャラクターと相まって、「本物のルビーが来た」と話題になっていたそうだ。

 また、このようなひたむきさに加えて、いわゆる“原作もの”のアニメでは、原作者が太鼓判を推すケースも少なくない。

■『逃げ上手の若君』北条時行役・結川あさき

 乃木坂46一期生・高山一実の長編小説を原作とした映画『トラペジウム』で主役の東ゆうを演じた結川あさきは、オーディションに高山と篠原監督が立ち会ったそうだ。篠原監督は「テープオーディションで結川さんの声を聴いた瞬間、『ゆうっぽい』と思った」と述べ、高山と無言でうなずきあったという。(※4)そんな結川は、オーディションを経て7月に放送されるアニメ『逃げ上手の若君』でも主役の北条時行役に大抜擢され、話題になっている。

 役を獲得するためには、オーディションで演技力を証明しなければならず、そのハードルは年々高くなっている。新人声優が大役を掴むためには、演技力はもちろんのこと、キャラクターに合った声質や雰囲気を持っていることが重要なポイントになる。いち視聴者としては、魅力的な新人声優が増えることは嬉しい限りだが、もはや「演技力」の一辺倒で主役の座を掴める時代ではないのだろう。

参考

※1. https://shueisha.online/articles/-/66777

※2. https://animageplus.jp/articles/detail/47002/2/1/1

※3. https://youtu.be/Vb4X1LhQUQI?si=fLP-0OyeIuGN0h95

※4. https://repotama.com/2024/04/183752/