《93歳の料理系YouTuber》道場六三郎は今も現役!語った7つの“仕事術”とたった1つの“動機”

AI要約

道場六三郎さんは、93歳になった料理人で、長いキャリアの中でさまざまな仕事に取り組んできた。彼の仕事術や料理哲学には、丁寧さや無駄のなさ、思いやりなどが反映されている。

道場六三郎さんは料理を早く、かつ丁寧にすることを重視しており、包丁や調理器具を駆使しつつ、シンプルで合理的な作業を心がけている。

また、道場六三郎さんは無駄を出さずに命をいただくことを大切にし、食材の全てを活かすアイデアを工夫している。さらに、便利な道具を積極的に活用し、料理を効率的に行う工夫も欠かさない。

《93歳の料理系YouTuber》道場六三郎は今も現役!語った7つの“仕事術”とたった1つの“動機”

 YouTube『鉄人の台所』ではさまざまな家庭料理を披露し、チャンネル登録者数は19万人に上ります。

 自身が経営する日本料理店「ろくさん亭」は連日満席で、時には自身が厨房に立つ特別な食事会を開催したり、調理器具を開発したり、介護食のメニューを考えたり……。仕事への意欲はまだまだあふれ出ているようです。

 その源はなんでしょう。道場六三郎さんにうかがいました。

 1月で93歳になりました。

 特に今年は「生誕祭」として、僕の店「ろくさん亭」で食事会イベントをやったんですよ、「ろくさんの人生を食べ尽くすコース料理」と銘打って。

 振り返ると、長い間料理人をしてきたもんです。18歳で知り合いの魚屋さんで初めて包丁を握ってから、金沢時代、赤坂等での修行時代、40歳で銀座で「ろくさん亭」をはじめて、テレビの仕事ーー中でもフジテレビの「料理の鉄人」は思い出深いねえ。89歳で始めたのはYouTubeの仕事、ほかにも商品開発とか学校での指導とか。いろいろやってきました。

 長い間こんなに続けてこられたのは、第一は、女房のおかげですね。ありがとう(天に向かって)。

 そして、今回のテーマは「仕事術」ということで、仕事で大切にしていることを整理してみました。あらためて考えたけれど、僕は若い時からあんまり変わってないね。大事なことをずーっと信じてやってきただけ。

 でも、この年齢になったからこそ気づいたこと、わかったこともある。それを踏まえて、仕事術をお話ししましょう。

仕事は丁寧に、早く! どうしたら早くできるか精一杯考える

 僕はせっかちだからね、若いときから、早くすることを考えながらやってきた。料理の仕事を早くする一番は「包丁をちゃんと研ぐこと」。研いでないときれいにきれなくて、時間がかかる。仕事が遅くなるんだよ。それじゃあ楽しくない。

 早くするためにはどうしたらいいか、次に何をしたらいいか、周りを見ながら考えて、いいと思ったことはどんどん取り入れる。そうすると無駄がなくなって、シンプルに合理的になる。料理がもっと楽しくなるんですよ。

無駄を出さない、命をいただく

 無駄を出さないのは、時間に加えて、水やサランラップの使用もできる限り少なくする。資源の無駄はしたくない。素材もです。「食材は全部使い切る」が僕の信条。

 素材には命があります。皮や骨など、捨てがちな部分にも命があります。それがあるから料理がおいしくなるし、食感が楽しくなる。

 例えば、セロリの皮やネギの根を唐揚げにする。鶏の皮はカリッと焼いて塩をふる。これらがいいつまみになるんですよ。骨からはいいうまみが出るからスープにしたり、あら炊きなどの煮物にしたり。捨てるところなんて一つもないんです。

 無駄なくいただくことで、命は成仏できる。僕は「成仏名人」なんですよ。

便利なものはどんどん使う

 これも仕事を早くするための道具だね。今世の中では「時短料理」が流行っているそうだけど、僕の料理は時短も時短。簡単ですぐできる。そうでないと続かないからね。だから、いいものはどんどん使う。

「料理の鉄人」がテレビで始まったのは、僕が62歳のことだったね。

 番組で「圧力鍋」を使ったのは、僕が一番早かったんじゃないかな。だって早く上手にできるでしょ。そんないいものは、どんどん使ったほうがいいんですよ。だから僕はYouTubeでも圧力鍋をよく使っていてね。「高圧男」なんですよ(笑)。

 家庭でも同じです。みなさんお忙しくて、家でゆっくり料理を作っている時間がない。だから簡単においしくできる技や道具はどんどん使ったほうがいい。僕が調理器具を開発するのも、そのためです。

料理は思いやり

 歳をとって気がつくこともあるんですよ。固いものが食べにくくなったり、大きく切ったものが口に入れづらくなったり。

 女房の看病をしていたときも、大きなものは口に入れられなかったから、小さいおにぎりを手のひらで丸めて作ったね。僕の場合は仕事を早くすることが信条だから、両手のひらにご飯を少しずつ乗せて、一度に2個作ってね。

 そこからだね、家庭料理の大切さを知ったのは。ご家庭で作られる料理には、「家族が健康で、幸せにいてほしい」という愛情が込められている。女房が僕や子どもたちに愛情たっぷりに家庭料理を作ってくれていたことを、やっと理解できました。

 この歳になって、僕がYouTubeで家庭料理を紹介できているのも、オリジナルフライパン「ろくパン」などの新商品開発といった新しい仕事をやれているのも、すべては女房のおかげ。女房に感謝だね。