「女子なのに東大?」 “#言葉の逆風”ポスター企画者の想い「言われる側も“これらは逆風だ”と思っていい」

AI要約

「なぜ東京大学には女性が少ないのか?」という問いから始まり、女性学生や研究員、教員らが浴びせられる言葉の暴力性、そしてこれらの問題を解決するための取り組みについての記事。

東京大学の現状を変えるための取り組みとして、『#WeChangeUTokyo』プロジェクトが紹介され、2022~2027年度に女性教員の着任率や学生比率を引き上げる目標が掲げられている。

記事に登場する中野円佳氏や岩澤直美氏の証言を通じて、言葉の暴力が女性の意欲を削ぐだけでなく、社会全体に影響を与えていることが示されている。

「女子なのに東大?」 “#言葉の逆風”ポスター企画者の想い「言われる側も“これらは逆風だ”と思っていい」

 「なぜ東京大学には女性が少ないのか?」

 5月1日、東京大学に貼り出されたこのポスター。実際に学生や教授の男女比には大きな差があるが、この問いから20日後、アンサーとなる3枚のポスターが掲示された。

 3人の女性の周りにうずまくのは、東大に所属する女性学生や研究員、教員らに実際に浴びせられた言葉の数々。このポスターが訴えるのは、ジェンダーバイアスから生まれる「#言葉の逆風」、その暴力性だ。何気ない一言が女性の意欲を削ぎ、その結果、東大の女性比率の低さにつながっているという。

 こうした日本の現状を変えられるのか。『ABEMA Prime』でポスターの仕掛け人と考えた。

 ポスターはめくる仕掛けになっており、「一部センシティブな内容を含みます」との注意書きもある。企画を担当した、東京大学多様性包摂共創センター特任研究員の安東明珠花氏は「アンケート調査を実施した中で、思い出すだけでつらいという思いをされている方がいた。私自身、ポスターを考える中で、どこかに閉じ込めていた気持ちがよみがえってくるような感情もあった。この企画は“女性をエンパワーメントするものだ”という強い思いがあったので、フラッシュバックは一番避けたかった」と説明。

 「#WeChangeUTokyo」プロジェクトでは、男女比9対1の教員において、2022~2027年度に着任する1200人中約300人を女性に。男女比8対2の学生について、25%から30%への引き上げを目指すという。

 元日経新聞記者で、東京大学多様性包摂共創センター特任助教の中野円佳氏は「こういう言葉は、親や教師などにかけられた幼少期からの蓄積がある。いろんな要因が東大の女性の少なさにつながっているし、政治や経済界などあらゆるところにバイアスがかかっている。東大の問題として始めているが、結果的に社会全体に発信できたらという思いだ」と語る。

 東京大学博士課程在籍中で、カルモニー代表の岩澤直美氏は「こうした言葉は本当にある」と指摘。「私は下駄を履かせてもらって東大に入ったと思っている。親が教育に投資したいと思ってくれ、恩師や仲間も応援してくれる環境で、逆風よりもむしろ追い風だった。しかし、大学院に入ったばかりの頃、先生に『ご飯に行きましょう』『お酒を飲みながら研究相談しましょう』と誘われて、断ったら『女性らしさをもっと使ったほうがいい。あざとくやったほうがいいよ』と。女性もみんなもっと頑張ればいいのにと最初は思っていたけど、頑張りたくても頑張れない、逆風を受けている人たちがいる。そういうことに気づくところから始めないといけない」と振り返った。