京都市の「敬老バス回数券」、交付率6%と低迷…12種類・制度の複雑化など要因か

AI要約

京都市が高齢者向けに新設した敬老バス回数券の交付率が低いことについて、制度の複雑化や周知不足が問題とされている。

新制度では回数券かフリーパス証かの選択が可能で、申請期間内に1回交付される。

フリーパス証の利用者負担が見直されている中、交付率が低下している。

 京都市が高齢者向けに昨年10月に新設した「敬老バス回数券」の交付率が6%にとどまっている。地下鉄・バス料金を割り引く既存の「敬老乗車証」(フリーパス証)と選べるようになったが、制度の複雑化や周知不足も要因とみられる。市は今後、市民アンケートを行い、制度を検証する。

 新制度では、回数券かフリーパス証かの一つを選ぶ。

 回数券は主にバスの利用頻度が少ない高齢者向け。12種類あり、5000円を上限に半額を助成する。交付は1年の申請期間内に1回。有効期限はなく、市と民間のバスで利用できる。

 申し込みは、昨年10月に交付事務センターで郵送の受け付けを始めたが、同月末で5・09%(1万5235人)に低迷。今年3月からは本人や家族からインターネットでも可能になったが、同月時点でも6・38%(1万9091人)と、当初予定した30%を下回っている。

 関連予算も2023年度当初の8億7000万円(利用見込み8万7000人)から、3月に2億1000万円(同2万3000人)に減額補正し、24年度は2億5000万円(同2万5000人)とした。

 一方、1973年の導入後、市の負担額が17倍に増えたフリーパス証は行財政改革の一環で、2022年10月から段階的に利用者の負担を見直してきた。利用者負担は、昨年10月から年6000~3万円が9000~4万5000円となっている。

 これらに伴い、交付率は見直し前の21年の44・67%(14万2652人)から22年は37・67%(11万7717人)、23年は31・67%(9万4729人)に低下。回数券の交付率(昨年10月末時点)と合わせても、対象者(29万9135人)の36・76%(10万9964人)と、見直し前の水準に届いていない。

 一因として制度の複雑化や周知不足が考えられ、交付事務センターには「回数券とフリーパス証のどちらが得か」「自分にはどの回数券が合っているのかわからない」との問い合わせも寄せられている。

 制度は高齢者の社会参加支援を目的にしており、市介護ケア推進課は「移動手段の選択肢が広がった利点をわかりやすく伝えていきたい」と説明。課題の検証も進める方針だ。