日本政府、中国演習に警戒強める 22年には弾道ミサイルがEEZ落下

AI要約

日本政府は中国軍による台湾周辺での軍事演習に警戒を強め、弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾したことが明らかになった。

中国はペロシ米下院議長の訪台に反発し、台湾周辺で大規模な軍事行動を実施しており、日本の安全保障に影響を与えている。

日本政府は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、中国との首脳会談で対話を通じた解決を促す方針を取っている。

日本政府は中国軍による台湾周辺での軍事演習に警戒を強めた。2022年の軍事演習では中国軍の弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。木原稔防衛相は24日の記者会見で、軍事演習について「重大な関心を持って注視している」と述べ、日本周辺の警戒監視に万全を期す考えを強調した。

中国は22年8月、ペロシ米下院議長(当時)の訪台に反発し、台湾周辺で大規模な「統合軍事行動」を実施。中国軍は、計9発の弾道ミサイルを発射し、そのうち5発が日本のEEZ内に撃ち込まれた。「台湾有事」が日本の安全保障に直結することを印象付けた。

22年は日本のEEZの一部に重なる場所にも演習区域が設定されたが、今回はより台湾側に設けられた。防衛省内には「22年より演習規模は小さい」との見方もあるが、同省関係者は「中国は日本周辺でも軍事活動を活発化させている。情報収集、分析に努める」と話す。

岸田文雄首相は、27日にソウルで開く日中韓首脳会談に合わせて調整している中国の李強首相との首脳会談で、台湾海峡の平和と安定が日本を含む国際社会にとって極めて重要だとの考えを伝える方向だ。

日本政府は演習が始まった23日、外交ルートで懸念を伝達した。岸田首相は演習直後のハイレベルでの接触の機会をとらえ、台湾問題について対話を通じた平和的な解決を中国側に促す考えだ。

自民党は24日、党本部で外交部会と外交調査会の合同会議を開き、台湾情勢を議論。会議後、藤井比早之外交部会長が官邸で外交力強化に関する決議を首相に提出し、日中首脳会談での毅然(きぜん)とした対応を求めた。(小沢慶太、原川貴郎)