女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持したら、夫や子どもの身分は?…与野党協議一致点見いだせず

AI要約

安定的な皇位継承に関する与野党協議の第2回会合が23日、衆院議長公邸で開かれ、女性皇族の結婚後の夫や子どもの身分のあり方などを議論したが、一致点は見いだせず、今後は議長が各党・会派から個別に意見を聞いて集約を目指す方向となった。

各党は、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持することに賛同するものの、夫と子どもの扱いに関して意見が分かれ、女系天皇への懸念や家族の一体性の観点から合意に至っていない。

与野党協議では当面は皇族数の確保策に焦点を絞り、将来の皇位継承の議論は先送りされることとなり、立民は先送りを容認する一方、共産党は女性・女系天皇の実現を訴えている。

 安定的な皇位継承に関する与野党協議の第2回会合が23日、衆院議長公邸で開かれた。女性皇族の結婚後の夫や子どもの身分のあり方などを議論したが、一致点は見いだせなかった。当初の想定より各党の意見の隔たりが大きく、週1回開催するとしていた方針を転換し、今後は衆参両院議長が各党・会派から個別に意見を聞いて集約を目指す方向となった。

 この日は、自民や立憲民主など13会派の代表者らが出席し、〈1〉女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持〈2〉旧宮家の男系男子が養子として皇族に復帰――の2案をもとに協議した。

 女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持することに関しては各党がおおむね賛同しており、夫と子どもの扱いが論点となった。出席した立民の野田佳彦・元首相は、夫と子どもにも皇族の身分を付与することも検討すべきだと改めて主張した。自身が首相だった民主党政権時に、夫や子どもも皇族とすることを念頭に置いた「女性宮家」創設を提案しており、家族の一体性を重視しているためだ。

 自民や日本維新の会は、子どもに皇族の身分を付与することは、母方のみが天皇の血を引く「女系天皇」につながることを懸念している。一方で、家族内で皇族と一般国民に分かれることで混乱が起きる恐れも指摘されており、着地点は見えていない。

 与野党協議の対象を、当面は皇族数の確保策に絞り、将来の皇位継承のあり方を先送りすることでも、合意に至らなかった。同時議論を求めていた党のうち、立民の野田氏は記者団に「皇位継承は、残念ながら今後の検討課題とせざるを得ない」と述べて先送りを容認したが、共産党は女性・女系天皇の実現を訴え、皇族数確保策に絞った議論になお反発している。

 こうした状況を受け、額賀衆院議長は会合後の記者会見で、「各党・会派と(個別に)十分に意見交換する中で、立法府としての考え方を整理したい」と述べ、与野党協議を週1回開く方針を撤回した。6月23日の今国会会期末に向け、どこまで幅広い合意を目指すのかも今後の焦点となりそうだ。