「中立性が担保されているとは言えない」 斎藤兵庫県知事のパワハラ疑惑 内部調査の弁護士選定を問題視

AI要約

兵庫県の西播磨県民局長が斎藤元彦知事らの言動を批判する文書を作成し、懲戒処分を受けた問題について、関係する顧問弁護士の関与が疑われている。

顧問弁護士は信用保証協会と長年の関係があり、内部調査に協力したが、その客観性に疑義がかけられている。

県人事当局の内部調査に影響が出た可能性があり、処分の公平性について疑問が提起されている。

「中立性が担保されているとは言えない」 斎藤兵庫県知事のパワハラ疑惑 内部調査の弁護士選定を問題視

兵庫県の西播磨県民局長だった男性(60)が斎藤元彦知事らの言動を「違法行為」などと指摘する文書を作成し、懲戒処分を受けた問題で、処分に向けた県人事当局の内部調査に協力した弁護士が、文書で斎藤氏の政治資金パーティーに関する疑惑を指摘された県信用保証協会の顧問弁護士を務めていることが分かった。斎藤氏は弁護士の関与を内部調査の客観性の根拠とするが、県議からは「中立性が担保されているとはいえない」との指摘が上がっている。

同協会は中小企業などが金融機関から融資を受ける際、公的に保証しサポートする機関。理事長は県幹部経験者が務めてきており、文書では昨年7月の斎藤氏の政治資金パーティーをめぐり、同協会の理事長らが「保証業務を背景とした企業へのパー券購入依頼も実行された」などと書かれていた。

同協会などによると、協会は県弁護士会所属の藤原正廣氏と長年、顧問契約を結び、藤原氏は協会の関係する訴訟で代理人を務める立場だったという。県人事課は男性に対する内部調査にあたり、藤原氏に協力を依頼。藤原氏は斎藤氏の聴取を担当するなどした。

県は今月7日、文書は誹謗(ひぼう)中傷にあたるとして男性を停職3カ月の懲戒処分とした。藤原氏は処分内容の説明に同席。第三者委員会の必要性には否定的な見解を示していた。斎藤氏は「弁護士の意見も聞きながら調査したので、一定客観的に調査が実施された」などと評価していた。

藤原氏は20日、産経新聞の取材に「人事課は当初、協会の顧問弁護士であることを知らなかった。調査の段階で別の話の中で説明した」とし、「調査内容からして顧問弁護士であることは全く影響しないと思う」と話した。同課は「調査方法などについて客観的な立場として相談していた。調査に影響するとは考えていない」としている。

これに対し、ある県議は「文書内容を確認して、長年顧問を務めている信用保証協会の記述がある段階で受任を断るべきだ。中立性が担保されているとはいえない」と指摘している。