「知事告発文」の内部調査に協力した弁護士は利害関係者、専門家「客観性や中立性に疑義ある」

AI要約

兵庫県の斎藤知事らに対する「告発文」を巡る問題で、県内部調査に協力した藤原正広弁護士が、疑惑を指摘された県信用保証協会の顧問弁護士を務めていることが判明。

内部調査では疑惑について事実が確認できず、問題の文書を作成した職員には懲戒処分が下された。

知事は調査の客観性を主張し、弁護士の関与に対して問題がないとしている。

 兵庫県の斎藤知事らに対する「告発文」を巡る一連の問題で、県の内部調査に協力した藤原正広弁護士が、文書で知事の政治資金にまつわる疑惑を指摘された県信用保証協会の顧問弁護士を務めていることがわかった。知事は弁護士の関与を調査の客観性の根拠に挙げていたが、専門家は「利害関係者がかかわっており、客観性や中立性に疑義がある」と指摘している。(喜多河孝康)

 県信用保証協会は中小企業が金融機関から融資を受ける際、公的に保証し、歴代理事長を県幹部経験者が務めている。「告発文」では、昨年7月の知事の政治資金パーティーに関連し、「理事長らによる保証業務を背景とした、企業へのパー券の購入依頼が実行された」などと書かれていた。

 県人事課は、問題の文書の事実関係を調べるにあたり、職員の処分事案に詳しい弁護士として他部署から藤原氏を紹介された。助言を得ながら、文書で名前の挙がった県職員らへの聞き取りなどを進めた。藤原氏自らも斎藤知事の聴取を担当した。

 7日に公表した内部調査結果は、同協会に関する疑惑について「事実は確認できなかった」とし、知事らのパワハラや贈答品の受け取りなど他の疑惑についても否定した。「告発文」を作成した前西播磨県民局長の男性職員(60)は「文書は誹謗(ひぼう)中傷に当たる」などとして停職3か月の懲戒処分を受けた。

 知事は8日の記者会見で、県人事課による内部調査の客観性について質問され、「人事当局が弁護士と相談しながら調査し、一定の第三者性、客観性は担保されている」と主張。調査のための第三者機関の設置についても「弁護士から設置の必要はないと見解が示された」と述べていた。

 藤原氏は読売新聞の取材に対し、「協会の顧問弁護士をしていることを当初、県側は認識していなかったと思うが、途中で伝えた」と説明。「顧問弁護士の立場が調査に結びつくことはなく、客観的に調査はできている。問題があると思っていない」と話した。