馬乗りで暴行、聴診器かみちぎる…救急隊員への妨害行為が増加 東京消防庁が協力呼びかけ

AI要約

東京消防庁管内での救急隊への妨害行為が増加しており、96件の事件が発生している。

暴力や暴言などの妨害行為により救急隊の活動が逼迫し、救急出動が遅れる可能性もある。

例として、飲酒していた傷病者の家族が救急隊員を襲い、救急隊の出動が長時間化したり、搬送が遅れたりするケースもあった。

馬乗りで暴行、聴診器かみちぎる…救急隊員への妨害行為が増加 東京消防庁が協力呼びかけ

平成31年から令和5年までの5年間で、東京消防庁管内での救急隊への暴力や暴言などの妨害行為が96件発生していたことが19日、同庁のまとめでわかった。今年も今月17日までに15件発生。救急車の出動回数が昨年を上回るペースで増えていることもあり、妨害行為が救急出動をより逼迫させるとして、同庁は「救急隊の活動にご理解を」と呼びかけている。

同庁によると、これまでに起きた妨害行為は、救急隊員に対して傷病者などが殴ったり、頭突きしたりするなどの暴行があった。また、救急車を突然たたき出したり、聴診器をかみちぎったりするなどの物損行為もあったという。

今年9月には傷病者を搬送する際、飲酒していたとみられる傷病者の家族が、救急隊長の胸ぐらをつかみ馬乗りになって顔面を殴る事案が発生。同隊は約7時間出動できなくなったほか、追加で救急隊2隊に加え、現場確認を行うために消防隊2隊の計4隊が対応に当たることになった。

他にも医療機関の選定中に傷病者が台所の包丁を手にしたため、救急隊長が止めると、それを見ていた知人が腹を立てて、隊長の顔面を殴打。さらに傷病者自身も隊長を殴るといった事案も発生したという。

今年の救急出動件数(今月17日時点)は、66万7684件で、昨年同期より15989件(2・5%)増加している。東京消防庁は救急出動が逼迫する中、妨害行為により、さらに救急活動の長時間化や搬送の遅延などにもつながるとして、救急活動への理解と協力を訴えている。(前島沙紀)