「障害は個性」異彩放つアートアワード 障害者の作品が安価で取り扱われる問題解決の一助に
国際アートアワード「HERALBONY Art Prize」の紹介。
障害のあるアーティストの作品が高い評価を受け、独創的なデザインが多数展示されている。
ヘラルボニーは障害のあるアーティストの社会的地位向上を目指し、継続的な活躍の場を提供している。
ヘラルボニーが世界中のアーティストを対象にしたアートアワードを主催し、受賞作品は展示やライセンスビジネスに活用されている。
企業との協力により、障害という概念の変革を推進している。
ヘラルボニーは障害は欠落ではなく個性であるという理念を広めるため、海外展開も視野に入れており、グランプリ受賞者がさらなる活躍の場を求めている。
福祉という言葉では収まらない、国際アートアワードに迫りました。
多くの人の心をつかむ、表現力豊かなアート作品の数々。
会場では他にも、自由で大胆なアーティストのパフォーマンスに足を止める人の姿が。
実は、障害のある人や親族、そこに関わる企業なども笑顔になれる社会を目指して、新たな国際アートアワードをスタートさせました。
世界中の障害のあるアーティストを対象にした、国際アートアワード「HERALBONY Art Prize」。
眠るときに見た空想の世界をテーマにした作品や、自由と開放をテーマにしたアルコールインクアートなど、世界28カ国から1900作品以上が応募。
ヘラルボニー代表取締役・松田崇弥さん:
障害があるという理由で(作品が)すごく安くなってしまう。何々さんの作品はすごいし面白いし、障害者ではなく結局は人であると。
コンセプトは、「出口のあるコンペティション」です。
受賞して終わりではなく、継続的に障害のあるアーティストが活躍できる機会を提供。
作品が安価で取り扱われてしまう問題解決の一助になりたい考えです。
入賞作品などは国内最大級のギャラリーに展示され、アーティストによるライブイベントも開催。
支援対象ではなく、対等なビジネス関係を築いていくため、障害のあるアーティストと企業を結ぶ場も用意しています。
障害のイメージ変容に取り組んでいるのが、岩手県のスタートアップ・ヘラルボニー。
共同代表を務めるのは、双子の松田崇弥さんと文登さん。
実は2人には、重度の知的障害がある兄の存在が。
ヘラルボニー共同代表・松田崇弥さん:
普通に兄貴も楽しそうに生きている部分がたくさんあるのに、「かわいそう」というレッテルが貼られたり。
ヘラルボニー共同代表・松田文登さん:
どの国々にもそういう人たちは存在して、その一助になるため、ヘラルボニーという価値観を開きたい。
大規模なライセンスビジネスで急成長中。
障害のある人が手掛けた作品をアートデータとして、2000点以上管理しています。
日用品、アパレル、街など、さまざまなものにデザインとして落とし込み、コラボ事例は年間100件以上にも。
使用料の一部をアーティストに還元し、社会的地位の向上につなげています。
今回のアワードでは、企業賞を7つ用意。
受賞作品の独創的なデザインを各企業の商品へ採用し、障害という概念の変革に取り組んでいきます。
JAL カスタマー・エクスペリエンス本部 松本有紗さん:
作品を彩った紙コップ。国内線、国際線、世界中に飛び立つ予定。
グランプリに輝いたアーティストは、ヘラルボニーと作家契約を締結し、さまざまなライセンス起用により国内外にその異彩を発信。
HERALBONY Art Prize グランプリ受賞・浅野春香さん:
すごく報われる。いろんな人に見ていただいて感想を言ってもらえると、日本で個展を開きたい。
「障害は欠落ではなく個性である」、その考えをさらに広げるため、海外に新たな拠点となる「ヘラルボニー ヨーロッパ」も立ち上げました。
ヘラルボニー共同代表・松田文登さん:
次はパリでも展示をやりたい。東京、パリ、岩手で。
ヘラルボニー共同代表・松田崇弥さん:
販売しているものが物ではなくて考え方。人権感覚を前進させる一助になり得る会社。