「防災省」構想 司令塔か屋上屋か 自民総裁選、組織改編の公約〝続出〟 自民党総裁選 政策比較(2)

AI要約

次期政権でも「防災」は引き続き重要な課題となる。石破茂氏が提唱する「防災省」設置に関する議論や他候補者の独自案について、様々な意見が交わされている。

石破氏は防災省設置の必要性を主張し、その構想や課題について述べる一方、反論も根強く存在し、組織による対応の現実性が問われている。

他の候補者も自身の提案を掲げており、多角的な議論が行われているが、まだ決定的な結論には至っていない。

「防災省」構想 司令塔か屋上屋か 自民総裁選、組織改編の公約〝続出〟 自民党総裁選 政策比較(2)

次期政権でも「防災」は引き続き重要な課題となる。今回の自民党総裁選で議論が加熱しているのは、石破茂氏が持論とする「防災省」設置の是非だ。南海トラフ地震など大災害に備えた「司令塔」を創設する構想には「屋上屋を架すだけ」といった指摘もある。

「正月に能登半島で震災があった。震災は日を選ばない。場所を選ばない。防災省は必要だ」。石破氏は16日に金沢市で開かれた討論会でこう強調した。石破氏はこれまで、内閣府の防災担当部局を中心とした現行態勢では南海トラフなどへの対応は不可能だと主張。①現行態勢の人員・予算を強化②内閣府の外局「防災庁」に格上げ③各省などとの関係を整理して「防災省」設置-との構想を示す。

自衛隊や警察との役割分担や指揮系統の整理が課題となるが、石破氏は防災省に「指揮命令権限は持たせない」と説明。全国知事会など地方の要望が強いとして「必ずやる」と断言する。

ただ、同構想には反論が根強い。小林鷹之氏は「防災の各省連携は比較的いい態勢が構築できている。練度を高めるのは必要だが新省庁は必要はない」と主張。林芳正氏もノウハウ蓄積や各省連携など「中身の議論をしてから組織にするのが現実的だ」と指摘する。

「防災省」のような組織を求める意見はこれまでもあったが、政府は平成27年、平時から統一的に危機管理対応を担う組織について「積極的な必要性は見いだしがたい」といったん結論付けた。

一方、前回総裁選では岸田文雄首相が、新型コロナウイルス禍を受けた感染症対応の「司令塔」設置を掲げ、昨年9月の「内閣感染症危機管理統括庁」発足につながった。ただ、期待される機能を発揮できるか、検証の機会は訪れていない。

組織改編は選挙公約になりやすく、今回も多くの候補者が独自案を掲げる。加藤勝信氏は首相直轄の「危機管理庁」、上川陽子氏も防災対策の新組織設置を提唱。高市早苗氏はインテリジェンス関係省庁の司令塔「内閣情報局」、石破、林両氏は平成13年の省庁再編に続く「省庁再々編」を掲げ、茂木敏充氏は「エネルギー・環境省」への再編、河野太郎氏は厚生労働省分割を主張する。百家争鳴だが、議論が深まっているわけではない。