「食べない」「運動をする」ですべて解決するのに…「ダイエットをしている」と言う人はどうせ太ります(中川淳一郎)

AI要約

水卜麻美アナが長年のダイエットを明かす。

ダイエットは食欲と運動のバランスが重要。

過去の肥満体験から根性でダイエットに成功した体験談。

「食べない」「運動をする」ですべて解決するのに…「ダイエットをしている」と言う人はどうせ太ります(中川淳一郎)

 日本テレビの水卜麻美アナが8月26日放送の「しゃべくり007」(日本テレビ系)に出演し、「私、太ることをずっと気にして生きてるんですよ。ダイエットをずっとしてるんですよ、何十年も」と発言しました。これに対してネットでは共感のコメントが多数書き込まれました。

「16時間何も食べないようにしている」「野菜から食べます」「でもリバウンドした」「この日だけはチートデー」などとダイエットをする人はいろいろ言いますが、ダイエットをする人というのはどこか無理をしている。

 正直、太らないためには「食べない」「運動をする」ですべて解決するんですよ。しかし食欲に対して理性は勝てないし、運動をするのも苦痛だし忙しいから難しい。そこで「ダイエットをしている」という文言が出ますが、断言します。「ダイエットをしている」と言う人はどうせ太ります。

 ダイエットをしない人は太らないのです。理由は過度な食欲を持たないようにし、適度な運動をしているからです。それだけの話なのに古くは「リンゴだけを食べるとやせる」とか「ココアを飲むとやせる」なんてテレビの真偽不明の情報を元にしたダイエット法が流行しました。

 食欲と運動というものは、かなりの忍耐力と自制心でなんとかするしかないもの。根性の問題なのです。ダイエットをする人は根性がないんですよ。私自身は51歳の現在168cm50kgです。太りたくないんです。

 なんで太らないようにしているかといえば、小学5年生の夏休み、1カ月間九州の祖父母の家にいたら15kg太ってしまったからです。初め44kgだったのですが、祖母が「アンタ、食べんしゃい」と毎度豊富な食事を与え、さらには間食もすさまじい量が出る。アジフライなどいっぺんに4匹は食べていたので、身長150cmほどで59kgになってしまった。

 この時母親は東京にいて監視の目がなかったため食べまくったのです。そして2学期、学校に行ったら突然肥満児になった私に皆が仰天しました。気の良い友人は「減肥茶」なんてものをくれたりしたのですが、明らかにそれまでにはなかった「このデブ野郎が!」的視線は感じ、屈辱感にさいなまれたものです。学校では罵詈雑言を浴びることはなかったものの、スイミングスクールでは「デブゴン」なんて呼ばれ嘲笑されました。

 その年の大みそか、除夜の鐘を聞きながら「絶対にやせてやる!」と宣言。そこから1年、身長は10cmほど伸びる中、12kgのダイエットに成功。やり方としては、腹八分目にし、夜、5kmほど走る、というものでした。これで普通の体形になりましたが、デブでいた時の他人からの哀れむような視線と、すぐに疲れる状態がイヤだったので「オレは金輪際デブにならん!」という強い意志を持ち続け、それ以来デブになったことはありません。

「ダイエットしているんだ~」と大人になって言う人は、おそらくここまでの屈辱感は味わっていない。肥満児だった人間は容赦ない言葉を浴びせられましたが、さすがに大人の場合はそうはならない。「ダイエットしてるんだ~」を言えるだけ、心に余裕があるものなのです。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ

1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

「週刊新潮」2024年9月12日号 掲載