中核派全学連トップに初の女性、SNS駆使しPR 公安は動向を注視

AI要約

過激派組織「中核派」の学生組織「中核派全学連」が初めて女性委員長を選出。SNSを活用し注目を集める動き。警察は中核派を極左暴力集団として警戒。

新たな委員長は矢嶋尋氏。全学連での活動を始めたきっかけは天皇制に疑問を持ったこと。警察は中核派を凶悪事件を起こす恐れのある集団と見て警戒。

中核派はSNSを積極的に活用し拡散を図っている。女性委員長の選出で宣伝効果が高まる可能性もあり、警察は警戒を強めている。

中核派全学連トップに初の女性、SNS駆使しPR 公安は動向を注視

 暴力による共産主義体制の実現をめざしてゲリラ事件を繰り返してきた過激派組織「中核派」の影響下にある学生組織「中核派全学連」は13日、女性の委員長を選出した。中核派が発足した1963年以来、全学連での女性のトップは初めて。近年、SNSを駆使したPR活動をしており、公安関係者は、さらに注目を集める狙いがあるとみて動向を注視している。

 委員長になったのは、副委員長だった学習院大学の矢嶋尋(ひろ)氏(25)。都内で12日から開かれていた全国の学生メンバーが集まる年次大会で決まった。

 矢嶋氏は約50人の参加者を前に「ウクライナ戦争以降に全学連に結集した若い仲間たち、女性、セクシュアルマイノリティー。この人たちが反戦闘争の主体となり闘っていくことで新たな、爆発的な、後に続く決起を引き出していくことは間違いない」と述べた。会場からは拍手が沸いた。

 矢嶋氏によると、全学連で活動を始めたのは2020年秋。天皇制に疑問を持っていたといい、SNSに投稿された中核派の集会の告知を目にしたのがきっかけだった。集会を皮切りに、反戦・反核デモに参加してきた。この日は、全学連として引き続き、反戦・反核を訴えていく方針を示した。

 警察は中核派を「極左暴力集団」と呼び、発足以来、凶悪事件を起こす恐れがあるとして警戒してきた。警察庁によると、昭和天皇が逝去した翌年の1990年には、京都御所(京都市)に金属弾を撃ち込むなど全国で124件のゲリラ事件を起こした。派生団体との争いも深刻で、死者は100人を超えた。近年も、警察官への公務執行妨害事件などが後を絶たない。勢力は約4700人(2022年6月現在)。矢嶋氏によると、全学連は100人程度という。

 中核派はユーチューブにチャンネルを開設するなどSNSを駆使して、主張を広く訴えようとしている。ある公安関係者は「女性が代表を務めることで宣伝効果が高まる可能性がある」と警戒を強めている。