女性用下着バラまき犯のDNAが26歳女性を殺害した凶悪犯と一致…13年間進展がなかった「元・未解決事件」が動き出した奇妙なきっかけ《庭先に女児用のパンツが…》

AI要約

1994年、大阪マルビル内の大阪第一ホテルで女性が惨殺される未解決事件が起こる。

被害女性はデートクラブに登録しており、男性客との事件が繰り広げられる。

犯人の指紋の不在や宿泊カードの不正使用など、捜査は難航している。

女性用下着バラまき犯のDNAが26歳女性を殺害した凶悪犯と一致…13年間進展がなかった「元・未解決事件」が動き出した奇妙なきっかけ《庭先に女児用のパンツが…》

 世の中には、解決に至っていない犯罪が存在する。俗に言う「未解決事件」である。

 何の手がかりもないまま何年も経過したり、公訴時効を迎えて迷宮入りになったりしたケースも少なくない。しかし、ふとした出来事が、未解決だった難事件を一気に解明に向かわせることも時として起こり得る。捜査関係者の執念なのか、あるいは天の配剤か。

 意外なきっかけで真相が明らかになった“元・未解決事件”を追う。

 1994年1月16日、大阪マルビル(大阪府大阪市北区梅田)内の大阪第一ホテルで女性が惨殺された。事件の現場となった大阪マルビルは円筒形のフォルムが特徴的で、大阪を代表する繁華街のランドマークとして今日でも世間に広く知られている。

 被害女性(当時26歳)は、コンピュータ関連の人材派遣会社で事務職として働くかたわら、デートクラブ(派遣型風俗店)にも登録していた。この日は日曜日で、昼職は休みだったのだろう。夕方の午後5時20分頃、第一ホテルに宿泊する男性客のもとに派遣され、犯罪に巻き込まれてしまった。

 大阪第一ホテルのチェックアウト時間は午前11時。翌17日の午後になっても男性客がカウンターに姿を見せず、客室に内線電話を入れても応答がなかったため、不審に思ったホテル従業員がマスターカードで客室のドアを開けた。しかしそこに男性客の姿はなく、変わり果てた女性の遺体が残され、床には血だまりができていたのだ。

 警察の司法解剖の結果、死亡推定時刻は16日の午後6時頃。女性が入室してから、わずか40分で惨劇が繰り広げられたことになる。

 被害女性は顔や頭部を十数回殴打されたあとに首を絞められており、死因は頸部圧迫による窒息死だった。犯人は被害女性を執拗に殴りつけたと見られ、床には大きな血だまりができていた。その凄惨さから、犯人の狂気がうかがえ、怨恨による犯行の可能性も疑われた。

 容疑者の男の姿は、大阪第一ホテルの1階フロントなどに設置されていた防犯ビデオに残されていた。男は16日の午後2時10分頃にひとりでチェックインし、犯行後にホテルを後にする際には、チェックイン時に着用していなかったコートを羽織っていた。

 このコートは返り血を隠すためであろう。また、客室の備品が犯行に使用された形跡はなく、紛失したものもないことから、男はあらかじめ凶器を用意していたとも推測された。

 しかし捜査を開始した警察官を驚かせたのは、室内から指紋が全く検出されなかったことだ。

 犯行があった1994年当時、携帯電話の国内普及率は3.5%で、男はデートクラブへの電話もホテル備え付けの客室電話からかけている。しかし受話器やドアノブなど、指紋や掌紋が付着しているはずの場所を調べても、ついに1つも指紋を採取することができなかった。

 大阪第一ホテルの宿泊カードには市内に実在する他人の名前と住所が書かれており、捜査は行き詰った。