15歳で歌い始め10年…「集大成のアルバム」制作 日頃は医療機関で受け付け
佐世保市出身のシンガー・ソングライター本田咲季さんが初のCD「タイヨウ2/3光線」をリリース。
ジャズやフォークソング、歌謡曲などを独学で学んだ本田さんが、プロのミュージシャンらと共に完成させた一枚。
医療機関で働きながら音楽活動を続ける本田さんの成長が期待される。
伸びやかな高音のボーカルが響く。長崎県佐世保市出身、在住のシンガー・ソングライター本田咲季さん(25)が初のCD「タイヨウ2/3光線」をリリースした。プロのミュージシャンらの協力で完成した一枚。歌い始めた15歳の頃からの歩みを知る関係者は「等身大の自分を一歩ずつ成長させた、これまでの集大成のアルバム」と、期待を寄せる。
活動拠点の一つ、市内のジャズ喫茶「サセボノオト」マスターの田中博一さん(48)は本田さんを高校時代から見守ってきた。「独自の世界観がある音楽性、魅力的な歌唱力のある歌声に引かれる」と言う。
その訳は“生い立ち”にある。独学で歌とギターを奏でるようになった本田さん。その姿を見た父が、市内のフォーク喫茶に連れて行ってくれた。店のママと一緒に昭和歌謡のバンドに加わって音楽フェスのステージに立ち、久保田早紀さんの「異邦人」などを歌った。サセボノオトにも出入りした。
ジャズとフォークソングと歌謡曲。異なるジャンルを習得して作詞作曲をする中で、既成概念にとらわれない自由な感覚が磨かれた。佐世保でライブをするプロミュージシャンのオープニング役を担い、名前も知られるようになっていった。
CDを手がけるきっかけは、2023年夏に市内で開いたライブ。ボーカルの本田さんを除く3人は経験豊富な実力者たち。いずれも九州出身の50代。
「せっかくだから、このメンバーみんなで本田さんのCDを作ろう」。若い世代を後押ししようと話が進んだ。メンバーの一人で編曲も担った北島ユキヒロさん=福岡県出身=は、岡本真夜さんのバックバンドとして知られた存在だ。
今年8月に完成したCDには本田さんのオリジナル9曲を収録。謎めいたタイトル「2/3」には、聴いてくれる人がいて初めて音楽は完成する、という意味が込められている。日頃は医療機関で受け付けの仕事をしている本田さんは今後も、音楽との両立を目指す。
CDは100部制作。購入や予約などの問い合わせは、佐世保市島地町のサセボノオト=0956(60)9307。
(重川英介)