「金をかけない総裁選」で手探りの選挙運動 各陣営で異なる金銭感覚

AI要約

自民党総裁選は、金銭感覚の違いや総裁選挙管理委員会のルール違反などにより混乱が生じている。

選挙運動の際には、各候補が党員名簿を活用して支持を呼びかけるが、総裁選挙管理委員会は金銭面での支援を規制している。

選管は禁止事項を定めるが、罰則はなく、各陣営の運動方針は個別に注意される状況となっている。

「金をかけない総裁選」で手探りの選挙運動 各陣営で異なる金銭感覚

今回の自民党総裁選は、猛批判を浴びた派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受け、「金をかけない」がテーマになる。とはいえ、9陣営の金銭感覚は一致していない。すでにルールを破ったとして「注意」を受けた候補もいる。知名度が高い候補が有利になるとの指摘もあり、手探りの選挙運動に苦悩する場面が増えそうだ。

総裁選挙管理委員会の逢沢一郎委員長は告示日の12日の記者会見で、総裁選の各候補に対して、全国の党員名簿を無償で貸し出すと明らかにした。従来はコピー代などの負担を求めていたが、「金のかからない」選挙を徹底するとした。

総裁選では、各候補が党員名簿に基づき、党員・党友に支持を呼びかけるのが通例だ。逢沢氏は、総裁選で党が負担した経費に関しては「毎年行っている党の収支報告に適切に盛り込む」と述べた。

選管は今回、禁止事項8項目を定めた。書籍・色紙などの物品配布▽文書などの郵送送付▽インターネット上の有料広告▽オートコールによる電話作戦▽その他、金をかける行為▽党機関紙『自由民主』の個人版を利用しての運動▽各都道府県連による特定候補の支援▽郵便投票用の往復はがきの収集-だ。ただ、罰則はなく、自民幹部は「各陣営の『良識に任せる』ということだ」と説明する。

11日には自身の政策をまとめたリーフレットを全国の党員らに郵送していたとして、逢沢氏が総裁選に出馬した高市早苗経済安全保障担当相を注意した。

一方、「良識」は陣営間で異なる。東京都内の高級オフィスや高級ホテルを陣営の選挙対策本部などに利用している候補がいるとして、茂木敏充幹事長を支持する中堅議員は「高市氏以外の陣営も一律に注意してくれないとモヤモヤする」と語る。

注意の対象が見極めにくい中、各陣営は慎重な動きを強いられそうだ。優勢が指摘される小泉進次郎元環境相を支える中堅議員は「ただでさえ9分の1しか露出できないのに、金もかけられないとなれば(知名度が低い)後発組はキツいだろう」と述べた。(内藤慎二)