自民、19日にも不信任決議案提出で調整 兵庫知事「悔しい思い」

AI要約

兵庫県の斎藤元彦知事(46)がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党県議団が不信任決議案の提出を検討している。

斎藤知事に辞職と出直し選を求める申し入れが行われ、全会派・議員が辞職を求める事態となっている。

自民党内では不信任決議案の提出が前倒しされる可能性があり、斎藤知事は辞職を否定している。

自民、19日にも不信任決議案提出で調整 兵庫知事「悔しい思い」

 兵庫県の斎藤元彦知事(46)がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県議会(定数86)の最大会派・自民党県議団(37人)は、知事が辞職要求に応じない場合、不信任決議案を早ければ9月定例会開会日の19日に提出する方向で調整に入った。提出されれば、他の全会派と無所属議員も同調する構えで、可決の公算が大きい。

 2021年の知事選で自民と共に斎藤氏を推薦した日本維新の会と、県議会第2会派の維新県議団(21人)は9日、斎藤知事に辞職と出直し選を求める申し入れ書を提出した。12日には自民、公明党県議団(13人)、立憲民主党系のひょうご県民連合(9人)、共産党県議団(2人)の4会派と無所属議員(4人)が共同で辞職を要求する予定で、全会派・議員が辞職を求める事態になっている。

 不信任決議案を巡っては、県民連合がいち早く提出を決定。9月定例会に提案される補正予算案などの審議を踏まえ、一般質問が終わる30日などを候補に提出を模索していた。

 関係者によると、自民内ではこれまで事態を静観してきた維新が他会派に先駆けて辞職要求したことに焦燥感が強まっていた。このため、不信任決議案提出の前倒しを検討。知事が辞職要求に応じない場合、開会日の19日に補正予算案を採決・成立させた後、不信任案を提出することも視野に、他会派と調整を進めている。

 不信任決議案の可決には議員の3分の2以上が出席し、4分の3以上が賛成する必要がある。定数86の県議会では、全員が出席すれば65人以上の賛成で可決される。不信任となれば、斎藤知事はその通知後、10日以内に議会を解散するか自らの失職かを選ばなければならない。失職を選んだ場合、出直し選挙となる可能性がある。

 県議会の全議員が知事への辞職要求で一致したことを巡り、斎藤知事は11日の定例記者会見で「大変重く、真摯(しんし)に受け止めたい。文書問題の調査や、補正予算案や来年度予算案の議論をしっかりやっていくことが今の思い」と改めて辞職を否定した。

 前回選挙で知事を支援した自民の県議らも辞職要求に回ったことを指摘されると、「重い決断をして出馬を要請してもらった。こういう状況になったことは、自分自身に対して悔しい思いではある。本当に申し訳ない」と涙を浮かべた。不信任決議案が可決された場合の対応については「法律の規定に基づいて、どう対応するか考える」と述べるにとどめた。

 一方、日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は11日の記者会見で、出直し選になった場合、党として斎藤知事を推薦するのは困難との見通しを示し「(知事が説明する)背景や事実関係は、納得できるものではない」と述べた。【中尾卓英、山田麻未、戸田紗友莉、中田敦子、東久保逸夫】