「暴力団が500万で買う」闇バイト強盗や特殊詐欺が暴対法以降の資金源に?リーゼント刑事が解説

AI要約

近年増加している闇バイトを利用した犯罪について、元刑事の秋山氏が警鐘を鳴らしている。

暴力団が運営する犯罪組織による闇バイト強盗の背後には、全国的に広がる犯罪グループが存在している。

警察庁はこの流動型犯罪グループに警戒を強めており、今後も闇バイト強盗の拡大が懸念されている。

「暴力団が500万で買う」闇バイト強盗や特殊詐欺が暴対法以降の資金源に?リーゼント刑事が解説

 昨今、闇バイトなどで集めた実行役を使って、資産を狙う犯罪が多発しており、リーゼント刑事こと元徳島県警捜査一課警部の秋山博康氏が警鐘を鳴らす。

 今月3日、神奈川・鎌倉市にある質店で強盗事件が起きた。帽子とマスク姿の2人が押し入り、バールでショーケースを破壊。2人がバールを手に取るのに手間取っていると、そのすきに店員が突進し、強盗を抑えようと、つかみ合いに。もう1人は腕時計を何個かつかんで逃げていった。

 強盗致傷の容疑で逮捕されたのは、東京・世田谷区の建設作業員を自称する高井誠容疑者(29)で、SNSで高額バイトの投稿をみて応募したと供述している。その後、現場から逃走した孝子航輝容疑者(21)と、運転役とみられる竹谷大輝容疑者(22)も逮捕された。

 鎌倉の事件の3日前には、厚木市でも中古ブランド品店から腕時計などが奪われる強盗事件が起きた。腕時計やネックレスなど、およそ130点、数千万円相当を奪った疑いで轟祐二容疑者(24)と19歳の男が現行犯逮捕されたが、「闇バイトに応募した」との趣旨の供述をしている。後に運転手役とみられる男も出頭し、逮捕された。

 秋山氏は、「1年ぐらい前から、こういう事件がまた発生すると予測していた」と語る。過去に同様の事件が発生した際にも、再発の恐れを公言していたが、そこには長年の捜査協力者から情報入手した「闇バイト強盗が起こる仕組み」があるという。

 背景には「暴力団が作った犯罪組織」の存在を指摘する。1994年の暴力団対策法施行で、全国の暴力団が収益源である「みかじめ料」を取れなくなったことから、「ある暴力団グループが『オレオレ詐欺』の集団を作った」と説明する。

 オレオレ詐欺が資金源になると見た、他の暴力団が約50人のグループを500万円で購入。各地の暴力団が、同様にグループを買い、いま全国で約20グループあるそうだ。「どのグループも闇バイトで大きくなり、素人の実行犯が集まるようになっている」。

 しかし、犯行組織にとっては、ここで問題が起きる。「闇バイトで雇った子は、本来『かけ子』や『受け子』になる。ところが話術が下手で、何人電話してもバレてしまい、使い物にならない。かけ子は、10~20人をマンションの一室に置いて電話させるが、家賃がかかる」。そして、特殊詐欺で使えない人物は、強盗で使い始めたというのだ。

 秋山氏が「闇バイト強盗」の再発を予見したのは、暴力団それぞれが「シマ(縄張り)」を持っているためだ。「上野で貴金属店をねらったのは、上野をシマとする暴力団。今回は神奈川を縄張りとする暴力団の犯罪グループがやっている」と考察する。

 警察庁は「トクリュウ」こと、匿名・流動型犯罪グループを警戒している。「今20グループのトクリュウがあるが、ほぼ背景には暴力団がある。だから場所によって違う犯罪グループがやった」。今後さらに「闇バイト強盗」が拡大する危険もあるそうだ。

「いまは時計狙いで質店をねらっている。(ターゲットが)特殊詐欺から民家強盗、貴金属店、質屋に変わっている。今後気をつけてほしいのは、銀行や郵便局だ。上(指示役)からしたら、実行犯(闇バイト)は捨て駒。いっそ質屋よりも大金を置く、銀行や郵便局をねらえという指示があるかもしれない」

(『ABEMA的ニュースショー』より)