国防担う「いずも」乗組員の素顔追う 海自最大の護衛艦 乗艦ルポ

AI要約

海上自衛隊の最大の護衛艦「いずも」に乗務する隊員たちの日常に迫る取材。

乗組員は船内で様々な活動を行い、リフレッシュや訓練を行っている。

船内での生活や任務の中で、隊員たちの絆や家族への思いが垣間見える。

国防担う「いずも」乗組員の素顔追う 海自最大の護衛艦 乗艦ルポ

全長248メートル、幅38メートル。海上自衛隊で最大の護衛艦「いずも」。乗員約450人が、時には数カ月間にも及ぶ航海のなかで任務を遂行している。国防という緊張を強いられる役割を担う隊員らは、船内でどのように過ごしているのだろうか。6月下旬、グアム島から横須賀港までの7日間の航海に同行し、その素顔を探った。(写真報道局 岩崎叶汰)

■格納庫で「居合」に汗

甲板の下にあるヘリの格納庫は、乗組員にとって貴重な広い空間になっている。折々で大勢の隊員が駐機中のヘリをわき目にランニングやトレーニングに汗を流していた。

その中でもひと際目立っていたのは、はかまに身を包んだ冨村卓也1等海尉(49)だ。静止した体勢から素早く抜刀し、何度も刀を振り抜いている。居合は2段の腕前だという。「私が任務に就いている艦橋は、船の重要な判断を下す場所なので常に空気が張り詰めています。ここで無心になって居合に打ち込むとリフレッシュできます」と話した。

■元自衛官の父に憧れ入隊

甲板に上がると、手旗で哨戒ヘリの発着艦を誘導する「シグナルマン」に目を奪われた。入隊4年目の綱島優李海士長(22)だ。

ヘリのローターの轟音(ごうおん)と風圧のなか、緑と赤の旗を縦横無尽に振ってさまざまなサインをパイロットに向けて送る。その技術は艦でも一、二を争うほどだという。

「もちろんパイロットを信頼していますが、常に安全な位置に来るよう『こっちおいでー』と思いを込めて誘導しています」

そんな綱島海士長の航海中の楽しみは、仲間と夜に食堂でアイスクリームを食べることだ。

元自衛官だった父親に憧れて入隊し、現在はシグナルマンのほか、格納庫で魚雷や機関銃の搭載などを担当している。「海自は幅広い年代の人と関われるし、色々な国に行けるので充実しています」と笑顔で語った。

■航海中も「1歳の息子」と一緒

巨大な船とはいえ、1人が持てるプライベートな空間は限られる。多くは自分の2段ベッドとランドセルほどの小さなロッカーだけだ。洋上では携帯電話はつながらず、インターネットも楽しめない。陸に残る家族と気軽に連絡できるわけではない。その狭いスペースに隊員の私生活が詰め込まれている。

船内のディーゼルエンジンの点検などを担当する淵上堅太3等海曹(27)のロッカーには1歳半になる息子の遥陽(はるひ)くんの写真が貼られている。航海で約1カ月間も会えていないという。「家庭のことは妻に任せっきりで申し訳ないですが、妻がいるからこそ任務に集中できるので感謝しています」と話す。