横浜駅「女子高生」飛び降り事故 巻き添え女性死亡…賠償責任を「誰も負わない」ワケ

AI要約

JR横浜駅に直結する商業施設の屋上から女子高校生(17)が転落し、路上にいた女性(32)を巻き込んだ痛ましい事故が発生。両者は死亡し、警察が捜査を行っている。

加害者側は民法709条に基づき不法行為として損害賠償責任を負い、未成年でも責任が問われることが示唆されている。

加害者が亡くなっても相続人が損害賠償責任を負い、相続放棄することで免れることも可能。相続放棄すれば、責任を回避できる可能性がある。

横浜駅「女子高生」飛び降り事故 巻き添え女性死亡…賠償責任を「誰も負わない」ワケ

JR横浜駅に直結する商業施設の屋上から女子高校生(17)が転落し、路上にいた女性(32)を巻き込んだ事故は、二人とも死亡するという痛ましい結果になった。

報道によると、女子高校生は8月31日、屋上に設置されていた約2.5メートルの高さがある柵を乗り越えて飛び降りたとされる。一方、巻き込まれた女性は、友人3人と駅前の路上を歩いていたようだ。警察は重過失致死の疑いなども含め捜査しているという。

状況からして、巻き込まれた女性は「被害者」ということになりそうだが、今回の被害について、誰にどのような法的責任が生じるのだろうか。澤井康生弁護士に聞いた。

──女性を死なせた加害者側はどのような責任を負うことになりますか

加害者本人は過失によって被害者を死亡させたことから、民法上の不法行為(民法709条)が成立して、被害者の遺族に対して損害賠償責任を負うことになります。

加害者本人が未成年者の場合は、未成年者本人が責任を負うのか否か問題となりえますが、判例実務上、小学校卒業程度であれば事理弁識能力(自分の行為の責任を弁識するに足りる知能)が認められて、本人の不法行為責任が認められます。

今回のケースでは、加害者が高校生であることから、原則として、加害者本人が不法行為責任を負うことになります。

──加害者本人が亡くなっている場合はどうなりますか

不法行為責任による損害賠償責任も、金銭債務として相続の対象となります。そのため、加害者の相続人(両親)が、被害者に対する損害賠償責任を承継することになります。

──相続人が「相続放棄」をした場合はどうなるのでしょうか。

加害者の相続人は、被害者に対する損害賠償責任を相続により引き継ぐことになりますが、相続を放棄することによって免れることも可能です。

相続放棄の制度は、プラスの財産もマイナスの財産も含めて、相続される人の一切の財産を相続せず、放棄するものです(民法939条)。

家庭裁判所に申し立て、受理されれば、相続放棄した人は、プラスの財産もマイナスの財産も含めて、すべての相続財産の承継を拒否することができます。

不法行為責任による損害賠償責任も、相続債務に含まれますので、相続放棄することによって免れることができてしまうというわけです。