韓国大統領経験者にまた“汚職疑惑”　文在寅前大統領が「収賄の容疑者」に浮上…娘・ダヘ氏の自宅を家宅捜索

2022年に退任した韓国の文在寅前大統領が、収賄の容疑者に浮上したと韓国メディアが一斉に報じた。在任中の2018年に娘の元夫を航空会社に就職させ、その見返りとして公団理事長のポストを与えた疑いがあるという。

2日の韓国紙では、文在寅前大統領と娘の写真を掲載して、「『文在寅 億ウォン台の賄賂疑惑』捜査へ」と大きく報じた。

韓国のテレビ局「MBC」は8月31日、独自取材として「文在寅前大統領の娘の自宅を家宅捜索した際、令状に文氏の名前が、『収賄の容疑者』と書かれていたことが分かった」と報じた。

報道によると、8月30日、韓国検察が文前大統領の娘・ダヘ氏の自宅を家宅捜索した際、捜索令状に収賄の容疑者として文氏の名前が書かれていたという。

収賄があったとされるのは、文氏が大統領に在任していた2018年で、かつて自身が代表を務めていた「共に民主党」の元議員が設立した航空会社に、当時娘の夫だった人物を入社させ、その見返りに、元議員に公団理事長のポストを与えた疑いがあるという。

その後、娘は離婚したが、検察は元夫が航空会社の役員として受け取った給与など2億2000万ウォン（約2400万円）が文氏に対する賄賂にあたるとみているという。

一方、検察による今回の捜査に対し、文氏を支持してきた「共に民主党」の関係者らは猛反発している。

「共に民主党」の議員は「罪のない前大統領を容疑者にして苦しめる政治的報復で、その結末は現政権と検察の没落となるでしょう」と述べ、報道官も「調べても何もでてきません。法律を無視して無理やり小説を書いています」とコメントしている。

家宅捜索を受けた翌日、文氏の娘・ダヘ氏はSNSに、割れた窓ガラスの写真とともに「この石を誰が投げたのだろう。なぜよりによって私に当たったのだろうか。この思いだけが繰り返される」と投稿した。

ダヘ氏は、今回の疑惑を「石に当たった」と例えることで、潔白を訴えたものとみられる。

これまでのところ、文氏は自身が容疑者として報じられていることについて、コメントしていない。検察は「疑惑の捜査を進めているだけで、政治的な状況とは全く関係ない」としている。

さらに今回の疑惑を巡っては、検察は文氏の側近で、かつて次々と疑惑が表面化したことから「たまねぎ男」と呼ばれた、野党・祖国革新党のチョ・グク代表からも事情を聴いた。

チョ・グク代表は「これは目標を決めてから行う捜査で、基本に反するものだと考えている」と話している。

退任後に汚職などで収監されることが多い韓国の大統領経験者。歴史はまたしても繰り返されるのだろうか。

（「イット!」 9月2日放送より）