「賢いドライバー」なら知っている…レンタカー業者がゴリ押しする「免責補償」の不都合な真実

AI要約

レンタカーを利用する際には免責補償に加入することが勧められている。

免責補償と自動車保険は異なるものであり、免責補償は免責金額分の補償を意味する。

免責補償を付けることで、事故時の自己負担金を軽減できる。

レンタカーを利用する際に勧められるのが、万が一に備えた免責補償だ。自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんは「独自に複数社のレンタカー業者に確認したところ、免責補償に加入する人は全体の8~9割に上る。一方、実際に補償の恩恵を受けたのは100件のうち1~2件だった」という――。

■免責補償と自動車保険はまったく別物

 レンタカーやカーシェアを借りる際、アプリや店頭で「免責補償」を勧められた経験を持つ人は少なくないだろう。免責補償は利用者の約8~9割が付けるそうだ。筆者は免責補償をほとんど付けないが、店頭で「免責補償をつけずに事故を起こした場合、最大15万円のご負担となりますがよろしいですね?」などの脅し文句に心が揺らぐこともある。

 そもそも「免責補償」「車両・対物事故免責額補償制度」(CDW)の内容や条件をよく理解せず、恐怖心を煽られ「付けておいたほうがよさそう」と勧められるままに付けている人もいるだろう。とくに、これまで一度も車を所有したことがなく、自動車保険のシステムも良く分からない人にとっては、免責補償と保険の違いを明確に理解するのは難しいかもしれない。

 勘違いしている人もいるかもしれないが、実は免責補償と保険はまったく別の物である。一般的なレンタカーの場合、対人・対物・車両の基本補償はレンタカー料金の中に含まれているから、免責補償はいわゆる自動車保険とは違う。

 「免責補償に入らないと事故が起こっても保険が出ない。最悪、数百万円~数千万円を自腹で払わないといけない」ということではない。

■免責分5万~10万円を補償するもの

 免責補償とは「免責金額分の補償」である。レンタカーには基本の補償が含まれているとはいえ、それらのほとんどは5万~10万円の免責金額が設定されている。

 車両保険の免責金額が10万円にされている場合、レンタカーで事故を起こした際の修理代が10万円以下なら保険金支払いの対象にはならない。つまり10万円までは自腹ということだ。

 また修理代が35万円なら免責分の10万円は自腹で支払い、のこり25万円が保険から支払われる。1日1000円程度の免責補償を付けていれば、これらの免責分10万円を支払う必要がない。これが免責補償のシステムだ。