新宿の摩天楼で会社員が熱唱、舞う紙片 「会社対抗のど自慢」の魅力

AI要約

超高層ビルがそびえ立つ東京・西新宿で、会社員の夏の祭典が開催された。新宿三井ビルで行われる「のど自慢大会」が47回目の開催を迎え、紙片舞う中、参加者がJ-POPを熱唱した。

1975年に始まったこの大会は、会社間の親睦を深める目的で開催され、コロナ禍以外毎年開催。今年は106組が参加し、社交の場として人気を集めている。

参加者たちは仕事では見られない姿を見せ、一体感や喜びを共有する機会と捉えている。大会への熱意は高く、決勝進出をかけた競争も激しい。

新宿の摩天楼で会社員が熱唱、舞う紙片 「会社対抗のど自慢」の魅力

 超高層ビルがそびえ立つ東京・西新宿で、今年も会社員の夏の祭典が始まった。47回目となる「新宿三井ビルディング会社対抗のど自慢大会」。紙吹雪の代わりにシュレッダーで細断された紙片が舞い、ステージ前では同僚が熱い声援を送る。大人たちを熱狂させる大会の魅力とは――。

 地上55階、地下3階建てで、およそ100の企業・団体が入居し、約1万2000人が働く新宿三井ビル。21日夜、赤い衣装に身を包んだ男性参加者が敷地内の特設ステージで女性歌手のバラードを妖艶に歌い上げると、同僚がスティックバルーンを振って聴き入った。B’z、大塚愛、相川七瀬、KAN――。参加者は思い思いの衣装でJ-POPを熱唱した。

 この大会はビル完成翌年の1975年に会社間の親睦を深めてもらおうと始まり、コロナ禍で中止となった2020~22年を除き毎年開催されている。テレビ番組でたびたび取り上げられ、ビル関係者以外の観客も多く駆けつける。

 参加条件は「新宿三井ビルで働いている人」で、1社3組まで出場可能だ。今年は過去最多の106組が参加。大会を運営する三井不動産によると、4年ぶりに復活した昨年の大会に注目が集まったことが要因とみられるという。

 サラリーマンたちを熱狂させる魅力は何なのか。

 ステージ下で同僚を応援していたJTBの椎川洸さん(40)は「普段見られない同僚の姿を見られることや、みんなで一つの目標に向かう一体感を持てること」と語る。

 「売り上げや利益に追われる中、仕事とは違った楽しみや喜びを見つけ、同僚らと一丸となれる機会」と説明するのは、12年の大会で優勝するなど過去3回出場したベネッセコーポレーションの菊野徳一さん(61)だ。「のど自慢大会は甲子園。やるからには全力で取り組む」と言い切る。

 のど自慢に参加したくてビルに入る企業もある。地下1階のインド料理「ターリー屋」の代表取締役、吉川浩伸さん(63)は10年近く待った末に入居を果たした。3回目の出場となる21日夜は清水翔太の「化粧」を熱唱した。

 のど自慢大会は21、22両日の予選を勝ち抜いた20組が23日の決勝に進む。22日は午後5~9時、23日は午後5時半~9時。観覧無料。【山下俊輔】