「生きている間にできるのか」事故から13年半…燃料デブリ“試験的取り出し”開始へ

AI要約

福島第一原発事故から13年、溶け落ちた燃料デブリの取り出し作業が始まり、廃炉作業に進展が見られる。

地元の住民は取り出し作業を見守っており、作業の難しさや被ばくリスクに不安を抱いている。

取り出し方法やスケジュールについての説明会が行われ、2030年代を目標に廃炉作業を進める予定。

「生きている間にできるのか」事故から13年半…燃料デブリ“試験的取り出し”開始へ

福島第一原発事故から13年。事故により溶け落ちた『燃料デブリ』の取り出しがようやく22日から始まります。しかし、廃炉完了までの道のりはまだ遠いようです。

新たな段階に入る廃炉を、地元の住民はどう見ているのでしょうか。

伏見明義さん(73)

「私たちは見守っていくことしかできないので、何事もなく取り出してもらえればいいけど」

福島第一原発に勤務経験がある人(77)

「やる人は容易ではない。線量が高いから」

13年前、冷却機能を失って溶け落ちた核燃料。この燃料デブリの総量は880トンと推定され、人が近付けば数分で死に至る放射線量です。

その取り出しは、どのように行われるのか。装置の取り付けやパイプの接続など、人の手で行われる作業もあります。そして、遠隔操作で釣り竿型の装置を格納容器の中へと送り込み、つかみ上げたデブリの線量が一定以下であることを確認してから、取り出しに移ります。運搬用のボックスに入れて密閉されたデブリ。最終的な取り出しは再び人の手による作業です。

スタートからここまで約2週間。作業は交代制で行われますが、1日あたり2.5ミリシーベルトの被ばくが想定されています。ここまでして取り出すデブリは最大3グラム。東電はあくまでも分析のための試験的な取り出しだといいます。

残る880トンのデブリはどうなるのか。その本格的な取り出し方法の説明会が、地元で開かれました。主催は、国や東電に廃炉の助言を行う専門機関『原子力損害賠償・廃炉等支援機構』。前の規制委員長、更田豊志氏がその中心です。

燃料デブリ取り出し工法評価小委員会 更田豊志委員長

「地面が少しでも確保できやすい、3号機から本格取り出しは始めたい」

3つの工法のうち2つを組み合わせ、2030年代に始めるスケジュールです。

自治体ごとに開かれた説明会では、こんな声も…。

会津若松市に避難している40代

「本当にできるのかなと。夢のような話だなと。私たちが生きている間にできるのかな。廃炉作業が40年で本当に終わるのかなというのが疑問なので」

国と東電のロードマップでは、事故から40年、2051年に廃炉完了としていますが、これについて更田氏は…。

燃料デブリ取り出し工法評価小委員会 更田豊志委員長

「『やるんだ』とは皆思ってるけど、定められた期間とか、目標とする期間の中でやり切ることができるかどうか、工学的な自信の程度というのは、あんまり正直にというか『できます』とお約束する段階ではないです」

そして、廃炉『完了』がどういう状態なのか。それも決まっていません。

双葉町民 國分信一さん(74)

「将来は更地になるだろうと皆さん思っているので、その時ならなかったら今度相当、不平不満が出るだろうなと」