75歳実業家、利根川を泳いで横断 衰退する両岸の街への愛込めて

AI要約

実業家の八木秀次さんが利根川を横断して泳ぎ切る挑戦を行った。

八木さんは日本食レストランを展開し成功を収め、銚子市や神栖市の衰退に心を痛めていた。

強い風や波に苦戦しながらも、約1時間半かけて目標地点に到達し、周囲からの声援に感謝した。

75歳実業家、利根川を泳いで横断 衰退する両岸の街への愛込めて

 米ニューヨーク在住で、日本食レストランなどを展開する実業家の八木秀次(八木秀峰ボン)さん(75)が18日、千葉県銚子市側から対岸の茨城県神栖市側までの利根川横断に挑んだ。流れの速さに悩まされながらも、約1キロの距離を約1時間半かけて泳ぎ切った。

 八木さんは旧波崎町(神栖市)生まれ。市立銚子高に通い、20歳の時に船で渡米した。米国人に受け入れられやすい店構えを工夫するなどして、日本食レストラン経営のパイオニアとして成功した。その功績が認められ、2019年には旭日双光章を受章している。

 八木さんは年に数回、銚子市や神栖市に帰ってきているが、とりわけ人口減少などで衰退していく銚子市の現状に心を痛めていた。「銚子を盛り上げたい」との思いから、同じ思いの市民と協力して「うみのまちのフェスティバル」を企画、目玉イベントとして利根川横断に挑むことにした。八木さんは長年、水泳を続けている。20年前にも横断を成功させており、古希を超えての再挑戦となった。

 午後3時20分、大勢の市民の見送りを受ける中、ウエットスーツ姿で銚子側の河岸公園から利根川に飛び込んだ。しかし、強い東風と高さ2メートルを超える波に苦戦した。ゴーグルがずれ、最短距離で泳ぐ予定が、大きく西側に流された。それでもクロールから平泳ぎ、背泳ぎと泳法を変えて体力の消耗を防ぎ、少しずつ前に進んだ。

 伴走するボートから発せられる家族や友人の声にも励まされた。途中で潮の流れが変わると、泳ぎに余裕が戻った。午後5時前に神栖側の防波堤にたどり着くと、大きく両手を上げて笑顔を見せた。

 当初は往復も想定していたが、片道だけで時間がかかってしまったため断念。ボートで銚子側に戻ると、出迎えの市民から歓声が上がった。八木さんは「焦らず粘り強く泳げた。皆さんの声援のおかげです」と、晴れ晴れとした表情で話した。【近藤卓資】