「新しい羽根で飛ぶ」出馬表明の小林鷹之氏が自民再生に意欲 ベテランは世代交代警戒

AI要約

小林鷹之氏が9月の自民党総裁選出馬を表明。党内からは刷新感を期待する声もあるが、知名度不足や世代交代への警戒もある。

小林氏は自民再生や憲法改正を主張し、保守層の支持回復を目指す。中堅・若手が中心の支援団で党の信頼回復を図る考え。

一方で、ベテラン勢の警戒や知名度不足が課題。安倍派議員処遇に対する発言が議論を呼ぶも、ベテランの支持も必要とされている。

「新しい羽根で飛ぶ」出馬表明の小林鷹之氏が自民再生に意欲 ベテランは世代交代警戒

9月の自民党総裁選への出馬を19日表明した小林鷹之前経済安全保障担当相に対しては、「政治とカネ」の問題に悩む党内から「刷新感」を期待する声が上がっている。一方で知名度不足は否めないうえ、ベテランを中心に世代交代を警戒する向きもあり、支持を広げられるかが課題になる。

■「長老支配ではもたない」

「鷹は新しい羽根に変える『換羽』という習性を持っている。一時的に飛べなくなるので命がけだが、新しい羽でより高く、より遠く飛べるそうだ」

小林氏は19日の出馬会見で、自民再生を主導する考えを強調した。また、憲法改正の早期発議に向けて「最大限の熱量で取り組む」とも語り、自衛隊明記や緊急事態条項新設に意欲を示した。

小林氏は自身を「保守思想を重んじる政治家」と公言する。このため、党内には、岸田文雄政権下で離れたとされる保守層の支持回復への期待も少なくない。

小林氏の応援団は中堅・若手が中心だ。二階派出身だが、初当選同期の福田達夫元総務会長(安倍派)ら派閥横断で支援の輪が広がっている。「長老支配では党がもたない」(中堅)との危機感もあり、従来の派閥中心の総裁選から脱し、派閥パーティー収入不記載事件で地に落ちた党の信頼を取り戻したい考えだ。

■「ベテランも味方に」

一方で、急速な世代交代に対する警戒は根強い。自民重鎮は「ベテラン勢は出番がなくなる可能性があり、小林氏をねたむ声も出るだろう」と語る。

出馬が見込まれる石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相らと比べて知名度不足も否めない。テレビ番組への出演などで露出を増やしているが、党員・党友票の獲得につながるかは未知数だ。

不記載事件で役職を外された安倍派議員らの処遇については、11日のフジテレビ番組で「もう少しバランスを取った方がいい」と異論を唱えた。党一丸を強調する意図があったとみられる。

ただ、小林氏を評価する自民関係者は「安倍派に関する発言は余計だった。ベテランも味方につけるよう言っておく」と語る。小林氏は19日の会見では、党の処分を見直す考えはないと説明した。(今仲信博)