北朝鮮拉致家族「政治家は言葉だけなのか」「今度こそ結果を」 岸田首相総裁選不出馬表明

AI要約

岸田文雄首相が9月の党総裁選への不出馬を表明した14日、北朝鮮による拉致被害者家族から驚きと落胆の声が続いた。

拉致問題を巡り、岸田首相が取り組んできた取り組みや家族の期待感、不出馬の影響について述べられている。

被害者家族らは早期の事態進展を求めつつ、全拉致被害者の即時一括帰国を訴えている。

北朝鮮拉致家族「政治家は言葉だけなのか」「今度こそ結果を」 岸田首相総裁選不出馬表明

岸田文雄首相(自民党総裁)が9月の党総裁選への不出馬を表明した14日、北朝鮮による拉致被害者家族からは驚きと落胆の声が続いた。長い膠着状態が続き、近年は親世代の家族らの死去も続く中、改めて早期の事態進展を求めた。

拉致問題を巡っては、岸田首相が昨年5月、被害者奪還を訴える「国民大集会」で、自身直轄の「ハイレベル協議」に初めて言及。日朝首脳会談の早期実現に意欲を示し、今年の大集会でも、「さまざまなルートを通じて働きかけを一層強めていく。全力で行動する」などと述べていた。

横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の弟で、被害者家族会代表の拓也さん(55)は報道各社に対し、「水面下の交渉がリセットとなることは、残された拉致被害者がさらにつらい時間を過ごしていくことになり、残念」と心境を吐露。「拉致問題は国内外、与野党関係なく、人として許される問題ではない。次にどなたが総裁になっても、強い気持ちで、必ず解決してもらいたい。安易に譲歩したり、私たちが望んでいない合意がなされたりしないよう、全拉致被害者の即時一括帰国を求めます」とコメントした。

■「期待感もあっただけに」

昭和53年8月12日に鹿児島県で北朝鮮に拉致された市川修一さん(69)=同(23)=の兄、健一さん(79)は、拉致現場近くでつい先日、チラシ配りなど情報提供を呼びかけたばかり。「ただでさえこの季節は、弟を奪われた怒りや悲しみが、より募る時期。ハイレベル協議など、岸田さんには期待感もあただけに、ショックです」と消沈。これまで10人以上の首相と面会を重ねてきたが、「政治家は言葉だけなのか、という思いを、また抱いてしまった」と肩を落とす。

修一さんとともに拉致された増元るみ子さん(70)=同(24)=の弟、照明さん(68)は、「もう半世紀近い月日が経過しており、多くの関係者が、被害者との再会がかなわないうちに亡くなっている。岸田政権が築いた土台は継続しつつ、問題進展に向けてより強いリーダーシップを発揮できる方に、今度こそ結果を出してもらいたい」と奮起を求めた。