【独自】340隻が放置された“船の墓場”に潜入「停泊所登録必要なし」業界の問題点を調査

AI要約

東京都江戸川区と千葉県市川市の境を流れる旧江戸川で船の不法係留が問題となっている。管理が行き届かず、沈んでしまう船が散乱しており、持ち主がわからない状態だ。

プレジャーボートは高額なマリーナ係留が難点であり、不法係留が増加している。加えて、船の管理や処分には多額の費用がかかり、所有者不明の船体が増加している。

千葉県富津市の新富水路では、不法係留が蔓延しており、金銭的な理由からプレジャーボート所有者がマリーナに係留できずにいる状況が続いている。

【独自】340隻が放置された“船の墓場”に潜入「停泊所登録必要なし」業界の問題点を調査

 「船の墓場」と呼ばれる、船の不法係留が問題となっている。東京都江戸川区と千葉県市川市の境を流れる旧江戸川を訪れると、朽ちた船が沈んでいる様子が目に付いた。他にも、船の残骸が散乱し、ゴミ置き場のような状態に。東京側は整備されているが、千葉側は“無法地帯”となっていた。

 水辺の問題に詳しく、船舶の免許スクールを運営する、東京都港区議の榎本茂氏が背景を語る。

「プレジャーボートはすべてマリーナに係留することになっているが、コストも高く、『高いところが嫌だ』と不法係留する。そうすると結局、管理が行き届かず、水も電気もないため沈んでしまう。そして捨てられる悪循環がある」(港区議・榎本茂氏)

 これらの船は「そもそも持ち主がわからない」という。船体番号のステッカーを剥がせば、誰が所有者なのか不明になり、「1隻処分するのに、100万円や200万円では無理」だとも話す。加えて船ならではの事情として、車庫法がなく車庫証明が不要な点もある。「自動車のように『止める場所を確保しないと船を買っちゃダメ』と、購入時の条件になっていない」という。

 現在進行形で「墓場」となりつつある場所もある。ABEMA的ニュースショーでは、千葉県富津市の新富水路を取材。川幅およそ70メートルの範囲に、見渡す限りの不法係留船で、実際に確認すると150隻もあった。

 釣り船を営む男性は「元々は不法係留だったが、登録制になってから、『私の船はここに置いてある』と届け出がしてある。工事などで『退きなさい』と言われたら、無条件で出ないといけない」と説明する。近くにプレジャーボートを止められるマリーナもあるが、年間数十万円から数百万円かかるため、金銭的な問題で不法係留する人が多いという。

 先祖代々、この街に住む男性が語る。「前はこんなになかった。(指さしながら)ここまでは漁業権があるが、この辺にはない。漁業権がある人は港の中に係留している」。管理する木更津港湾事務所によると、新富水路は原則プレジャーボートの不法係留が禁止されているが、現時点でおよそ340隻の不法係留船が確認されているという。

「当然、監視・パトロールしている。張り紙や、所有者が判明していれば移動を促す手紙を出したりしているが、なかなか減らない。多少減ってもまた増えていく、いたちごっこ。地道な活動だが、指導してこれ以上増やさないようにしなければならない」(木更津港湾事務所の担当者)