被告の立ち会いなしに家宅捜索 長野・岐阜両県警、証拠は不採用

AI要約

長野、岐阜両県警が、勾留中の被告に令状を示さず被告の立ち会いもなしに家宅捜索したことが「重大な違法」として、長野地裁松本支部は押収物を証拠採用しない判断を下した。

被告は特殊詐欺事件に関連し、家宅捜索は逮捕時の初回を除いて4回実施されたが、令状を示さず立ち会いなしで行われた。地裁支部は警察の手続きの不正を認定し、押収物を無効とした。

被告の国選弁護人は、警察の違法行為が珍しいことを指摘し、警察の実務改善を望んでいる。

 長野、岐阜両県警が、勾留中の被告に令状を示さず被告の立ち会いもなしに家宅捜索したのは「重大な違法」だとして、長野地裁松本支部が公判で押収物を証拠採用しなかったことが10日までに公判資料から判明した。被告の国選弁護人だった吉沢裕美弁護士によると、家宅捜索の手続きが違法と認められるのは珍しいとし「警察の実務が変わることを願う」と話した。

 2022年に松本市や岐阜市などで起きた特殊詐欺事件で、受け子と出し子だった松本市の男が窃盗罪などに問われ、地裁松本支部の永井健一裁判官は7月8日、懲役3年の判決を言い渡した。

 家宅捜索は逮捕時の初回を除くと22年5月に松本署が3回、岐阜南署が1回実施。被告に令状を示さず立ち会いなしだった。被告は捜索後に押収品目録を渡されて自宅を捜索されと知り、警察に抗議した。

 地裁支部は松本署に勾留されていた被告に令状を示し、立ち会わせるのは可能だったと判断。被告が抗議した後の3度の家宅捜索は「令状主義の精神を没却するような重大な違法がある」と押収物を証拠採用しなかった。